フライ

風をつかまえた少年のフライのレビュー・感想・評価

風をつかまえた少年(2019年製作の映画)
4.1
世界でも最貧国の一つとされるアフリカのマラウイ共和国で、実際にあった出来事を映画化したストーリーは、世界が如何に不平等な中で成り立っているかをまざまざと見せつけられると同時に、学びと希望を捨てない事がとても大切で有る事を教えて貰える素晴らしい作品

2001年のマラウイ共和国のウィンべと言う貧しい町。
ウィリアムは、故障したラジオを父親のラジオを見ながら直したり、スクラップ置き場にある部品を調べるなど好奇心の強い賢い少年。父親に学は無いが真面目で農業を営み、優しい母親や姉妹と貧しいながらも幸せに暮らしていた。姉は大学進学を目指すなど学業の大切さを知る両親の理解もあり、勉強の好きなウィリアムは中学校へ入学出来る事に。しかしを勉強をしたいが、電気設備も無く貧しい家庭環境もありランプの灯油を使えないので、暗くなると勉強出来ず、明かりを何とかする為に電気の仕組みに興味を抱き調べる。所が天候不順により野菜が育たず家庭の収入が激減。学費を出せなくなり授業に参加出来なくなる。ウィリアムは、姉と密会し交際する教師の足元を見て、好きな理科の授業参加と図書館での勉強を密かに続ける。
国の政情不安や天候不順による食料危機と略奪、姉の駆け落ちや貧しい町ウィンべからの人口流出、真面目過ぎて頭の硬い父親による強圧などウィリアムを様々な問題が襲うも、好奇心と自分の為に調べていた電気やエネルギーの仕組みなどの知識、諦めない心が、自分だけでは無く多くの人を救う大きな転機となる。

ウィリアム少年の飽くなき探究心は、尊敬に値するし、諦めない心の素晴らしさに胸を打たれ感動したが、それ以上に大人視点からのウィリアムの父親の姿や姉の悲惨な状況、未熟な政治や国民、暴徒と化す市民など色々な意味で観ていてメンタルをやられてしまった。
本作には色々な点で興味を抱いたが、ウィリアム少年の素晴らしさに作品の面白さと感動を覚える所が多いが、裏テーマにも感じる国の貧困と、子供達の学びの場が奪われている負の連鎖は、関節的とは言え先進国の影響によるところが多いので胸が痛むし、作品内では表現されて無いが、近年の日本の取り組みをたまたま耳にしていたのでとても興味深く鑑賞できた。
マラウイにとってウィリアムの様な人が1人でも多く育てば、確実に国は良くなって行くだけに、希望が見えたのは良かったし、ラスト感動を味わえた。

自分が子供の頃に本作は無かったので無理だが、出来たら子供の頃に見たかったと思えたし、同時に自分の子供が幼い頃に見せたかった作品に思えた。

以前からマラウイ共和国の事をニュースなどで知っていたので、本作に対して余計感情移入しながら楽しめたが、もしこの作品に興味が有ればマラウイの歴史や日本との関係を少しでも調べてから観ると尚更興味深く鑑賞出来るかと。
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