蟬丸

サイダーのように言葉が湧き上がるの蟬丸のレビュー・感想・評価

4.3
終盤にほぼ時かけみたいなシーンもあり、たいへんおもしろかった。
映画になることで17文字の隙間に宿る受け手の想像の余地は狭まるが、普段鑑賞する出来上がった俳句ではなく、サイダーの泡のように言葉が弾け、俳句が湧き上がる瞬間の描写はえもいわれぬものがあった。愚直に紡ぎ出した言葉が輝いて見えた。言葉への揺るがない信頼を羨ましく思えた。

コンプレックスだと思っているものが誰かにとって、自分にとって意味を持つものへ転化するのってすばらしいねとこの映画を観て思っていた数日後、たまたま川上未映子の『ヘヴン』を読んで愕然とした。こちらもおすすめです。
蟬丸

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