映像はとりとめもなくて多くを語らないけれど、同時になによりも多くを語りかけているようだった。
過去と未来をリンクさせて無理な意味づけをすれば分かりやすく感動的な涙を誘うものになっただろうけど、そうしないことで逆にじわじわと沁みてくるような作品。ラストの後ろ姿は特にこみ上げてくるものがあった。余白と余韻がすさまじい。『カモン カモン』とか『アマンダと僕』とか大人ひとり、子どもひとりという構図がだいぶ好みだ。
その時々はただ楽しかったり悲しかったりするだけで、それぞれのことに意味なんてない。来た道を振り返ると、そこにはいろんなことがあって、いろんな人がいるだけだ。歩いてきた距離がその時の気持ちを屈折させることもある。確かなのは、背中に日焼け止めを塗ってくれた手の感触だけだった。