このレビューはネタバレを含みます
ポケベルも、期限ギリギリの缶詰も、留守電の合言葉が「1万年愛す」なのも、どこか違う惑星の物語を観ているようだった。どうせいつでも食べれる、と置いておいたパインの缶詰の賞味期限がいつの間にか切れているように、恋の期限も切れてしまう。
663号のパートは、2人の交錯しそうでしなさそうでする感じがよかった。しそうでしなさそう、という時点で人生は交わりはじめていると言えそうだけど。
「その時、僕と彼女の距離は0.1ミリ。57時間後、僕は彼女に恋をする。」とか、「カリフォルニア」という店で待ち合わせて片方が本物のアメリカのカリフォルニアに行くところとか、いちいちエモーショナルだ。劇中で何回も流れる「California Dreamin'」は幼い頃近所を回っていたチーズケーキの移動販売車が流していて、観ているとそのピンクの車体が脳裏に浮かんだ。映画にしろ小説にしろ記憶の変なところが刺激されることがある。『スラムドッグ・ミリオネア』的。