よしまる

スキャンダルのよしまるのレビュー・感想・評価

スキャンダル(2019年製作の映画)
3.4
 またしてもアホな監督のせいで映画がお蔵入りというニュースが。出演者にもスタッフにも思い入れはないけれど、みんなで頑張って作ったものが抹殺されるのは哀しい話。時代が変わっても無くならないんだねえ。

 さてこちらはメディアにおけるセクハラ、パワハラに対して声を上げた3人の女性!という若干ジャケ詐欺なところもありつつスキャンダルという邦題もまあまあセンス無くて萎えるけれど、内容は骨太で、3人ではなくニコールキッドマンが独り奮闘するお話。

 男性としては非常〜に複雑な感情を抱かされる。ニュースキャスターは顔で選ばれ、短いスカートを履かされ、デスクの下のパネルは透明に。日本でも20年ほど前まではそんな報道番組が当たり前だったし、若い時にはそれを選んで見ていたこともあったなぁ…ってこんなこと書いたらフォロワーさん減るだろうけれど、事実そんな視聴者がいるからこそ、番組が作られていたんだと思う。

 FOXのCEOロジャーは、キャスターに性行為を強いることで番組に抜擢してきた。それは自分の欲求のおもむくままに女性を奴隷のように扱う許されざる行為で、そのことと視聴者にエロ目線を提供して視聴率を稼ぐことは同一線上にある。

 マーゴットロビー演ずるケイラが初めてロジャーに呼び出しを食らった時、そのミニスカートを自分の手でたくしあげ、中を見せろと迫られる。痛々しくもつらすぎる描写である一方で、もうちょい!見えそー!って思った自分が居なかったのかと問われると…

 反省しかない💧

 物語は実話に基づいているとはいえ、スピーディーな語り口でテンポ良く見せてくれる。特に本作で唯一オスカーを獲得したカズ・ヒロの特殊メイクで誰だか全然わからなかったシャーリーズセロンのキャラクターが良かった。

 ただ、全てが明るみに出てロジャーは逮捕されてさらに死んでしまってから作られた映画なので、あまりセンセーショナルな感じがしない。
 逮捕される前に作られていたならもっと素晴らしかったんだけれど、それが出来るくらいならばこんな不幸の連続もそう続くことはなかったのだろう。

 男であれ女であれ、セクハラやパワハラという地獄ではなく、自ら胸を張り、楽しんで魅力を発揮してくれたならそんな素晴らしいことはないんだけれどね。