よしまる

モーリタニアン 黒塗りの記録のよしまるのレビュー・感想・評価

3.4
オンライン上映会のお題。長らく見逃していたものが出てくるのも嬉しい。

アメコミファンとしてはドクターストレンジとシャザムの競演、さらに犯人はマダムウェブのスパイダーマン、エゼキエルだった。

ま、それはオマケとして。

ジョディ・フォスターも円熟な域に入ってきて、こうした知的で正義感の強い女性の役をやらせたら安定感抜群。
先の男優たちも手練の演技で、実話ベースだけに没入感も良く、テンポよく観れた。

原作が良いのかどうか、法廷もの、ミステリーとしても面白い。
監督自身がエンタメに振っているとどなたかのコラムで読んだ気がするけれど、まったく黒塗り'のり弁'書類なんてものはそれ自体がギャグみたいなもんである。
まるでそんなアホななことが常態化しているのはアメリカも日本も同じと思った方も多いのではないだろうか。

グアンタナモ収容所には現在もまだテロリスト候補として拘留されている者がいる。
そのことを世に問うて黒塗りの愚かさを暴露したかったのか。
あるいは単に冤罪となった者を擁護し人としての尊厳を声高に叫ぶことに意義があったのか。

役者たちの演技合戦とシンプルでわかりやすいストーリー構成からドラマとしての完成度が高すぎて、かえって訴えかけたいものがぼやけてしまうというなんとももったいない作品となった気がした。