Ren

流転の地球/さまよえる地球のRenのレビュー・感想・評価

3.5
圧巻。アジアからこんなSF超大作が出てくるとは思ってもいなかったし、最後までしっかり面白かった。スコアは低めだけど少なくとも自分は人生で観たSF映画の中でもかなり楽しめたし、ハイクオリティで素晴らしいと思った。

中国で興行収入歴代5位のメガヒットを飛ばした、『三体』のリュウ・ジキン原作のビッグバジェット。
膨張し続ける太陽がもたらす気象異常から脱出するため、巨大エンジン1万機を駆使して地球ごと木星の軌道まで移動させてしまうというトンデモ映画。荒唐無稽でむちゃくちゃな、ともすればマイケル・ベイかローランド・エメリッヒ的なバカ映画になってしまいそうな設定だが、そこを最後まであくまで重厚かつ真面目なトーンで語りきったのが偉い!

「スター・ウォーズ」シリーズほどファンタジーに寄らず、『DUNE/デューン 砂の惑星』ほど静謐で地味(あえてこう表現する)にならず、シリアスだけど画は派手というバランスがSFとしてとても良い。単純にCGがすごい。世界観の構築がすごい。製作陣の「歴史的大作を作ってやろう」という心意気をひしひしと感じる。

地球が木星に迫る中で勃発するトラブルを、地球側と宇宙ステーション側の2方向から描くのも緊迫感の持続に効いていた。地球では氷点下のディストピアと化した地球でのロードムービーが、宇宙ステーションでは『2001年宇宙の旅』『ゼロ・グラビティ』に影響されたと思われるSFサスペンスが楽しめる。宇宙を、憧れではなく畏怖の対象として登場させているのが信頼できる。

壮大なスケールで、「生存と団結」「人間のいない文明は無意味」とこれまた壮大なテーマがしっかりと描かれていた。ちゃんと大勢死ぬ。それでも歴史の一員として、生きて繋いでいかなければならないという生物の根源的な執着。

個人的には「スター・ウォーズ」のエピソード4を観たような、壮大な物語が始まった感に胸躍ったし、ジャンルものとしても大満足の一作だった。計画が数千年スパンのものなので、続編も前日譚もどんどん作っていってほしい....!
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