渡邉ホマレ

ラストナイト・イン・ソーホーの渡邉ホマレのレビュー・感想・評価

4.3
華やかなりし60年代(『クルエラ』の10年くらい前)のイギリスはソーホー。
その頃のソーホーといえばパブが立ち並ぶ華やかな歓楽街。しかし路地を一本踏み外せば、闇社会への扉が口を開けていたという。
時代をさらに遡ると『ジキル博士とハイド氏の奇妙な事件』の舞台も、このソーホーだった…ような気がする(ソーっぽい)。

どこのお国もいつの時代もそうだけれど、闇社会といったら男が女を食い物にする世界。というわけで夢を食い破られた女性たちの涙と血が、ソーホーの街角には今も染み付いているのかもしれないね…。

…というのは豆知識。
『ベイビー・ドライバー』以降、すっかりオシャレな映画も撮れてしまうようになってちょっぴり哀しい「おれたちの作家」エドガー・ライト監督が手掛けた最新作は、華やかなソーホーの闇に迫った絢爛で不思議で不気味な、サスペリアで殺しのドレスなSF怪奇ミステリ!

キッチリコワくて哀しくて…だけれどシスターフッド的な、時代に即した描き方もされており、不思議な後味のいい映画だ。
『ベイビー〜』に引き続き、楽曲センスもキラリと光る☆