桃色

ナイル殺人事件の桃色のレビュー・感想・評価

ナイル殺人事件(2022年製作の映画)
3.0
ああ…なんか残念すぎる。

旧作のピーター・ユスティノフのポアロ版に対しても超えるものが何も無い…
そしてアガサ・クリスティーの原作に対してももう少し時代の正しい表現をして欲しかった。

とにかくカイロのギザのピラミッドのシーンとスフィンクスのシーンはお粗末。
CG感が丸出しで奥行きが全くなかったね。砂漠の大地に風も吹いていないんだもの。
ブルースクリーンの幕のまんま。これちょっと酷すぎますよ。

クリスティーがこの「ナイルに死す」を発表したのが1937年。
よってポアロのこのナイルの話はそれ以前の物語。
まず、この30年代にはスフィンクスは胴より以下は砂漠の砂に埋まっている状態だったはず。
私が訪れた1980年末頃だってまだ足場は残っていたんです。
よってポアロはあんなに優雅にあそこでスフィンクス全景を眺められるはずがない。
それからピラミッドで凧揚げをしていましたね。
ポアロに叱られてコトコト階段を降りるように降りてきました。
これも絶対ありえない話。
ピラミッドって一段が1.5メートル四方くらいの石で組まれた段なんです。そう大人が飛び上がって登るのがやっとの高さ。

コロナでロケハンに行かなかったのがいけないのか…要するに作品に愛情がない(不真面目←偉そうですが...)
それは全部に言えることで、綺麗なはずのガル様が何だかおばさん臭いし、あの壮大なアブシンベル宮殿だって美しいところ全く描く気持ちがない。そして薄肉彫のレリーフ壁面のちゃっちさももう漫画レベルなんだもの…
そんな全て愛情不足だと感じる映画。
カメラさんも照明さんも魅力的なはずの役者さんももっともっと綺麗に撮れたはずなのに…と…

ホテルだって欧米そのものを丸出しの自己満足。
いくら観光地の5つ星だってイスラムのマナーを守るように結構厳しく言われましたよ。
まぁ、時代が違うけど…

ケネス・ブラナー監督作品2つ観てきました。これと「ベルファスト」
「ベルファスト」についてはまぁこれよりは良かったけど…
ケネス・ブラナーのポアロは全くポアロに見えなくなりましたね。
私の中のポアロと全く違う。あの冒頭の戦争の話、恋の話を見させられて完全な他人なりました。
残念!

翌日追記:
別に検証サイトではないのでこれ必要かどうか…
ただ、自分のピラミッド訪問の驚愕の記憶が間違ってないのか、さっき調べてみました。
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20121024/327986/
これ。(1928年頃)
https://livedoor.blogimg.jp/karapaia_zaeega/imgs/a/f/aff40d7d.jpg
(ピラミッドの石の大きさ)
「地味にスゴイ!」の校閲の河野悦子ちゃんじゃなけどこの脚本も校閲してたらこんなことにならなかったはず…

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ごめんなさい。ちょっと昨晩から目眩がして、休みながらこのレビューだけ音声入力で書いてみました(静かに寝てろって話ですが…)
前のレビューのコメントいただいてるのもこの後ゆっくり書かせていただきます。ごめんなさい。
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