桃色

ブータン 山の教室の桃色のレビュー・感想・評価

ブータン 山の教室(2019年製作の映画)
4.2
「この国は世界一幸せな国と言われいるそうです。
それなのに先生のように教育を受け国の未来を担う人が、
幸せを求めて外国に行くんですね」

標高4,800メートルの秘境ルナナ村。
この人口の少ない町の村長の言葉。
ほとんどの人がこの村しか知らないで一生を終えるようなところだけど、村長の言葉通り、一番幸福な地として人々が凛として生きてる場所だった。

祖母と二人暮らしで教師という公務員に就きながら自分には合っていない職業だとすでに放り投げる寸前の主人公のウゲン。
オーストラリアに移住してミュージシャンになることを夢見ていたね。
でも、どうやら義務期間というものがあるらしく勤務態度が悪いが故に残り1年を秘境の学校へと派遣させられてしまう。
なんとこの村にたどり着くまで8日。
1日目だけは首都ティンプーからバスでそこからは徒歩しかない。2泊目に泊めてもらうのは靴も買えない貧しい民家。なのに当たり前に客をもてなしお酒を振る舞ってくれるんだよね。
そして6日も歩き続けた平原に村から大勢のお出迎えが来ていた。どんなに彼れらが子供達のために教育を望んでいたかがわかる素敵なシーンだったわ。

子供たちは文明と遠いところに暮らしながらもしっかり道徳を大人たちから習っていた。
言葉遣いも挨拶も行動の一つ一つが美しい子供達。
大人はそんな子供たちの将来のために「教育」を熱望してる。子供たちの未来の選択を広げてあげるためだって。
教育って紙の教科書だけからじゃないんだよ。
大人が子供に何を繋げていくか…教育は先人が伝えるべきものだって言っているようだった。
ウゲンのこころを溶かすのは、こんな本当に綺麗な人たちだったね。

そして山に響く歌声を持つ少女セデュ。
彼女の歌う「ヤク飼いの歌」がとても素敵。彼女との触れ合いがウゲンの未来も変えていくんじゃなかな。
最後…寄り道をして気づいた時はあの美し「ヤク飼いの歌」を口ずさんでいるウゲン。
そして--幕--

主人公のウゲンが、この清らかな人たちによってゆっくり人間としての心を取り戻していくという完全癒しのストーリー。
観ている私も、なにが幸せなのか、何が喜びなのかを問われたような作品だったな。

彼はきっとこのルナナに戻るんだろう。あのセディと「ヤク飼いの歌」を一緒に歌うのよ、ずっと一緒に。(これは私の希望!)

追記:
ヤク飼いの歌 ちょっとだけどYouTubeにありました。
自分のためにもリンク貼っておきますね。
https://youtu.be/JlZOGubnLdM
ちなみに最初にウゲンが拾っているのはヤクのウンチ。
これが暖をとる燃料になるんです♡
ウゲン君 香川真司に似てると皆さんが言ってますが改めて観てもその通りでした。

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ああU-NEXTポイントレンタルで返すのが嫌だった作品。
いつか見放題にくるのかもしれないけど、あの「ヤク飼いの歌」をもっと聴きたくなる。
なんとなく日本の民謡のように小節をくるくる回わす難しいメロディーだけど、綺麗な空気の山に響くあの音はやっぱり劇場で聞ききたかったなぁ…
素晴らしかった!
桃色

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