かつて大島渚は『大東亜戦争』というドキュメンタリーで、大本営発表や当時の映像をコメント無しでひたすら流して、報道のウソを我々に示した。
ここでは、慰安婦などなかったという、右派を代表する杉田水脈、ケント・ギルバート、藤岡信勝(つくる会)、櫻井よしこ、加瀬英明(日本会議)などにインタビューし、それをそのまま流すことによって彼らの異様さを見事に映し出している。
論理的な根拠も政治的な状況も、みな冷静に取り上げていて、そこにも感心する。
これが日本の監督作品だったら、問題視されバッシングされ、上映が困難だったろう。日系アメリカ人の大学院生によるドキュメンタリーだったから、そうならなかったのだろう。
だから、安倍晋三によるNHKへの介入も、日本会議のことも取り上げられた。
それにしても、杉田議員の自信たっぷりの表情が凄い。事実を、日本に不名誉なことは歴史的にも「なかった」という目線で見て、解釈する。みんな定番の根拠を示す。
しかし、そこには女性差別をはじめ、いろいろな差別観(蔑視と言ったほうがいいかもしれない)が根底にある。
そういうことを晒してくれた。
凄いドキュメンタリーだ。
ラストも怖い。