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ニノチカのnt708のネタバレレビュー・内容・結末

ニノチカ(1939年製作の映画)
2.9

このレビューはネタバレを含みます

ルビッチの『街角』が良かっただけに本作にも期待をしていたのだが、期待していたほどに面白くなかった。コメディとはいえ、やはり物語に政治(というより思想)の問題が絡んでくるとここまで面白くなくなるものかととても残念に思う。

特に本作は100%で応援できる存在がいないのが辛い。旅先で恋に落ちる気持ちもわからなくはないが、ニノチカは国の存亡を担っている存在。自分がニノチカだったらどんな選択をするかはわからないが、ロシアの「同志」だったら怒り心頭で狂ってしまうだろう。レオンもレオンで、女性に対してだらしがなく、どっちつかずの態度を取り続ける。そのうえ女性のためであれば、仕事だろうが何だろうが責任放棄をするのだから信用がならない。仕事と言えば、宝石の元の持ち主である女性もどこか鼻につく態度で彼女が登場するたびにイライラしてしまった。誰かの視点に感情移入し、その考えや行動とのギャップに心を動かされるコメディでは、このように応援できる存在がいないのは致命的、、私が面白くないと思ったのも当然である。

これも時代の違いと言えば時代の違いなのだろうが、それだけでは片づけられない何かがあるように思う。公開された当時、本作がどのような評価を受けたのは気になるところだ。
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