ざきこー

ミッドサマーのざきこーのレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
3.5
【祝祭がはじまる!明るいホラーの新境地】

同時期にパラサイトを観て、その直後に本作を観たのですが、
どちらも咀嚼が難しい作品でレビュー書くのが億劫になってました笑

やっと書く勇気が湧いたので書きます笑

さて、本作は「Hereditary」で長編映画に初挑戦し、衝撃のホラー作品を発信したアリ・アスター監督の長編2作目。

現代はMidsommarとスウェーデン語らしいんですが、今は英語のMidsummerと同じく夏至祭だそうです。

夏至祭はヨーロッパ、特に北欧で行われる夏の到来を祝う行事で、元々はスウェーデン発祥で洗礼者ヨハネを祝うものとされてたものが現代化して現在の形になったようです。

本作はまさにそのスウェーデンが舞台で、90年に1回行われる伝統的な祝祭があると聞いた大学生たちが、論文執筆のために祝祭の地を訪れる。

ポスターのトップを飾るフローレンス・ピュー演じるダニーは家族が自殺で亡くなるという失意の中から物語は始まります。

最初から重い笑

すでにドン底にいる主人公を支える彼氏クリスチャン。いい奴ではあったけどダニーとはほぼ情で付き合ってる感じ笑
ある日クリスチャンは友人のペレから祝祭の話を聞き、論文のネタとしてスウェーデンに赴くことに。
そのことをダニーに告げると、ダニーはパニック。結局流れでダニーも旅行に同行することになった。

こうしてダニー含む大学生5人はペレが育った小さな村に向かった。
そこは現代からかけ離れた大自然と雲ひとつない空が広がる世界。
色とりどりの花、祝祭を祝うための白装束。まさにファンタジーと言うほど美しい景色が広がり、ダニーの傷ついた心も癒されていく...

はずだった。

しかしそこにあった伝統的な行事というのは、常軌を逸するものだった・・・
 

と、前置きはここまでにしておきます。 



いやー、、、なんというか、いわゆる「ホラー」とも違う、精神的な怖さみたいのがすごかった。。

もちろん凄惨なシーンもあったのですが、それ以上にカルトというか盲信することで出来上がる恐怖みたいなのが、シンプルなスプラッタよりもリアルな怖さを感じました。

例えば、、、

仕事や家事でも第三者が見ると「なんでそんな作業してるの?」みたいなことはよくありますが、
そういうクローズドコミュニティを突き詰め続けた結果、こんなにも歪んだしきたりに成熟してしまったんだろうなぁと。

その辺ってまさに現代あちこちで起きてるハラスメントと同じで、
どこかでおかしいと言わない限りは黙認され横行してしまい、
行き過ぎて最終的に事件に発展してしまう、
みたいな点で妙な納得感みたいなものもありました。

価値観の違いを追求して恐怖に昇華させる、まさにアリ・アスター監督の技が光ってました。

あとダニーの表情ね。
怖かったーー笑
よく言えば生まれ変わった、悪く言うと自我が崩壊した姿が、まさにこの作品に漂う怖さを全て体現してたように思います。

まぁただ、細かなシーンを追うと???と思うシーンもあれば、グロいシーンも唐突感があったり、観る人にとっては苦手な方もいるだろうなぁ。
それだけ良い意味で万人受けしない映画に仕上がっているということですかね!
ざきこー

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