えーこ

ペイン・アンド・グローリーのえーこのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

70歳という円熟期を迎えたアルモドバル初の自伝的作品。
心身ともに疲れ、引退同然の日々を送る世界的映画監督サルバドールは、32年前に撮った作品の上映依頼を機に仲違いしていたアルベルトに会いに行くー

オープニング、まるで羊水の中の胎児のように、プールの中でたゆたうサルバドール。
母との記憶がよみがえる…
人生も終盤に差し掛かり、思うようにならぬ体、過去を振り返ることが多くなり、弱気になる心境がリアルに描かれる。
サルバドールをアントニオ·バンテラス、
なんだかギラギラ感がなくなって、
頼りなさげな悩めるイケオジ(笑)
母親役はペネロペ·クルス、
他アルモドバル組ともいうべき顔が揃う。

エキセントリックな人も出てこないし、
派手さはなく、しっとりと加齢臭漂う感じだけど、、(←えー)
極彩色の鮮やかさは相変わらず、
水色のタイルに真っ赤なシンク、
絵画が飾られた洒落た部屋、
人物の背景が画を華やかにする。
冷マはアートだ(笑)

劇中に舞台を組み込んだり、手慣れた演出がさりげなくドラマチック。
偶然は必然、
思いがけない再会に思わず涙。。
酸いも甘いも知ってる大人だからこそ、
戻れない恋はまるで初恋のように、
初々しく甘酸っぱい気持ちにさせる。

"愛だけでは愛する人を救えない"
彼を救ったのは紛れもなく愛の力。
心の痛みも体の痛みも乗り越えて、
再び前に踏み出すサルバドール。
ラストカットに、こりゃ1本取られたねー(笑)
えーこ

えーこ