Aoi

いなくなれ、群青のAoiのネタバレレビュー・内容・結末

いなくなれ、群青(2019年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

この物語はどうしようもなく、彼女に出会った時から始まるー

原作の美しい文が作品の至る所に散りばめられ、章ごとに区切られた展開は小説をそのまま映像にしたような感覚だった。

どこか欠けている、捨てられた人々がやって来る「階段島」。全て悟って諦めてしまったような悲観主義の七草と、正しいと思うことには真っ直ぐに行動する理想主義の真辺由宇。2人が再会するところから物語は動き出す。

相容れない主義を持つのに互いに必要な2人のやり取りが、感情移入しにくいのでとっつきにくい印象だった。ストーリーは青春群像劇のように仕立ててあるが、やや盛り上がりに欠ける気もした。

色彩豊かで紗がかかったような島の情景が、必要とされなくなったヒト・モノが詰め込まれた階段島の、少し非現実的でどこか寂しくも美しい世界観をよく表していた。

階段島にまつわる謎が明らかになっていくのだが、見終わった後も、複数の解釈ができる不思議な映画だった。


↓以下はシリーズ1作目のみの読者である一個人の感想です。間違っている部分もあるかもしれません。ネタバレ多く含みます↓

映画が1作目だけでなく続編のエッセンスが多く含まれていたのは意外だった。
1作目の小学生の大地くんの立ち位置が、後輩女子中学生の豊川さんの話に置き変わっているため、完全な学園モノっぽくなっている。

七草と真辺以外の登場人物は島へやって来た理由が、あまり踏み込んで描かれていないが、キャラクターの欠点が垣間見えるような演出になっている。

真辺が階段島に戻ってきた後、七草から手を繋ぎ返すラストは正直意図が分かりにくかった。ただ、現実世界の2人を描写している可能性もあるという監督の意見は面白い視点だと思った。

個人的に魔女は何か絶対的な存在だと思っていたため、終盤魔女の正体が明かされる展開には少し驚きを覚えた。
細かい部分はシリーズの続きを読んで確認してみたいと思った。


理解しづらい行動を取る七草と真辺なのだが、唯一共感できたのは七草のピストルスターに込められた想いだった。
自分のことを照らすことがなくても、ずっと輝き続けてほしい存在がある。こんなに純粋で美しい想いはないと思った。

私は切り取ることで現実の自分が前へ進むことができるなら、それはそれでいいような気がした。
島の世界の自分が納得できる答えを見つける。もし現実とリンクしているのなら、現実世界の自分が過去に捨てた自分を拾いあげようとあげなくても、どちらも救われるのではないか、なんて考えた。