Hrt

TENET テネットのHrtのレビュー・感想・評価

TENET テネット(2020年製作の映画)
4.5
ルードヴィッヒ・ヨーランソンとクリストファー・ノーランのハマりの良さよ。
ヨーランソンといえばドナルド・グローヴァーやライアン・クーグラーとの仕事が代表的なところだが、ここに来て劇伴界の超大物ハンス・ジマー(仕事抱え込みすぎ)の代打としてノーランにピックされ『TENET』の音楽を担当。
劇場で鑑賞したらどうやっても印象に残るノーラン作品の低音の鳴りを見事にモノにしている。
ていうかそもそもヨーランソンはアフロビート由来のラップミュージックを作ることに関しては非常に秀でたプロデューサーなので低音の使い方はすでにお手の物だったと思う。
本当に最高。一生聴いてられる。
音楽も撮影も最高級。
極上の映画体験だった。
ただしアイデアの渋滞というか、この一本に詰め込もうとしすぎていて少しくどい。
2回目が実質鑑賞1回目という人もいるように、話の筋を知ってからが本当の『TENET』の始まり。
だと思ったときにやはり時間関係のアイデアが先行しすぎて映画製作を追い越してる印象を受けた。
そこがノーラン作品の面白いところでもあるので良いのか悪いのか判断が難しい。
もちろんスペクタクルだけでも十分映画としての機能を果たしているが、ストーリーとアクション、スペクタクルが完全分業となって交わっていないのでは?と。
そうなると見せたい画を撮ってとりあえず繋げたようにも感じる。
それが2回観て自分が思ったことだ。
2回目を1回目とするならば、そうした演出構成上の粗雑さも加味して観ることになる。
凄い映画なんだけど同時にとても奇妙な作品でもあった。

今年のような興業界大打撃の中にあっても劇場公開に踏み切り、映画好きを劇場へ向かわせてくれたノーラン及び製作スタッフに心からの敬意を表する。
Hrt

Hrt