味噌のカツオ

魔女見習いをさがしての味噌のカツオのレビュー・感想・評価

魔女見習いをさがして(2020年製作の映画)
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テレビアニメ「おジャ魔女どれみ」シリーズの放送20周年を記念して制作された作品。

元となる「~どれみ」は、1999年2月から丸4年で4シリーズが放送されていたアニメシリーズ。
その後、今にも続く「プリキュア」に引き継がれて…と思いきや、その間に「明日のナージャ」というのが(1年間)放送されていたんだね。それは全然覚えていないけど(苦笑)

話を戻して、わたくし自身「~どれみ」を見ていたわけではないんだけど、ただその主題歌はメチャメチャ好きでね。聞いてるだけで元気になれる曲で。
それこそ住宅情報サイト・ホームズのテレビCMでも使われていたりして。

そんな「~どれみ」をベースとした今作。当のどれみたちは当時の映像&カメオ出演(?)という感じで。
もちろんターゲットは当時の「~どれみ」を見ていた人たち(後追いで見た層も含む)なんだけど、単なるノスタルジーに浸る企画ではなく。
あれから20年が経ち、大人になった等身大のアナタに…というのが斬新。

登場するキャラクターは、愛知で教員を目指すソラ・22歳。東京で職場に馴染めず葛藤する帰国子女のミレ・27歳。そして絵画修復士を目指して尾道のお好み焼き屋でバイトに励むも、だめんず彼氏に振り回されているレイカ・19歳(作中で20歳を迎える)。
かつて「~どれみ」に影響を受けた3人が、“MAHO堂”のモデルと言われている鎌倉の洋館でたまたま遭遇して意気投合。

その後「~どれみ」ゆかりの地の聖地巡礼として、岐阜、京都、奈良をめぐり、そのさ中で様々な経験を経て…という展開。

彼女たちが向き合うこととなる出来事には恋愛、家族との関係、仕事に関わること、そして未来。20代の女性3人ですから、やっぱり時に大きかったり、時に慎重になったり。そうした選択を迫られることがあるわけで。
でも これすなわち、今作のターゲットとなるであろう「~どれみ」世代の方々には響きまくる題材だったんじゃないかな。

多くのどれみファンの方が、幼い頃に“魔法”というものに憧れたのは間違いないでしょう。
でも成長するうちに、大人になるうちに“魔法”は現実には無いものと考えるはずで。

で魔法というものが自分の願いをかなえるものだったとするならば。
それを実現するためには呪文を唱えるのではなく、行動を起こすことが必要なんだと思います。

もちろん行動…ことを起こすには勇気もいるし、やみくもに突っ走っても願いが叶うとは言えません。
ですが、そっと背中を押してくれる人や、迷ったときにアドバイスをくれる人の存在があれば、より その願いには近づけるのかもしれません。

翻って…幼い頃に見た「おジャ魔女どれみ」も、もしかしたらそういうメッセージのこもったアニメだったのかもしれません。
でも子供の頃って、そこまで考えることはさすがにしないだろうけど。

ただし大人になって その作品に触れたとき、そうしたことに気付くこと、あると思うんですよ。

例えば僕たちが子どもの頃に見ていた「ウルトラマン」だって。
その当時は“ウルトラマンvs怪獣”に惹かれて見ていたにすぎないけれど。

今になって、そこに至るまでのドラマの部分に、脚本家たちの願いが…メッセージが込められていることを知り、向きうこととなる。それと同じだと思います。

現在ではとてつもない数のアニメ作品が排出されていますが、その多くが大人をターゲットにしたものであるはずで。
子供向けに放送されているものなんて、ほんのわずかだと思いますが。

この映画も現在の大人が見るために製作されたアニメであることは事実でしょう。
でも、20年の時を超えて、あの頃の伏線を回収する~なんて壮大な企画にも思えましょうが。

そういう理屈は抜きにしても、シンプルに胸に響く、素晴らしい作品でありました。
味噌のカツオ

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