cinemakinori

太陽の家のcinemakinoriのレビュー・感想・評価

太陽の家(2019年製作の映画)
3.6


剛ファン歴約40年の私ですが、何故か観るのを躊躇ってしまってこれまでずっと保留にしてきた数十年ぶりの主演映画。

たまたまYouTubeで全編高画質で観れたので何となく観始めたら案の定止まらなくなり最後まで観てしまった。



【オルゴール】や【英二】にしても【ウォータームーン】にしても、映画となるとどうしても剛節が前へ前へ出てしまうのは、シンガーソングライターでありアーティストとしての長渕剛が大きく制作に絡んで来てしまう為で、どちらかというとテレビドラマの方がその役柄のこなしが冴え渡っている気がする。
【家族ゲーム】や【親子ゲーム】、【親子ジグザグ】の頃の演技は本当に素晴らしい。

良くも悪くも長渕剛のイメージを強烈に決定付けてしまったのが名作【とんぼ】で、当時の衝撃度と長渕剛という一人のアーティストのカリスマ性は今の時代では考えられないほどに突出していた。
その後の【しゃぼん玉】も【RUN】も【ボディーガード】も結局は英二さんのイメージを世間的には払拭するほどに至らなかった。


本作【太陽の家】もまた、恐らく剛ファン以外には長渕ファンの為の長渕の自己満足映画としか映らないんだろうなぁと、、、結構冷静に観てしまった。

がしかし、
ストーリーの強引さや設定の大雑把さは剛映画では結構当たり前の事と知っている側からすると、キャッチすべきはそこじゃないんだようなぁってなる。

この映画制作当時に、長渕剛が伝えたかったメッセージはとにかく“愛”や“優しさ”、そして“絆”。
それを演技という譜面の中で剛節として吠えているのがよくわかる。
まぁ、これはファン以外の人たちには興醒め案件なのも40年ファンをやっていれば重々承知の酷評。

要するに、そのような酷評をする人たちは長渕剛の楽曲でさえ、“とんぼ”や“乾杯”や“順子”のイメージしかないんだろうなぁという程度の簡単なスルーで終われるのでどうでも良い。


“逆流”や“明け方までにはケリがつく”や“愛してるのに”や“風は南から”の長渕剛を知ったらそんな眼差しでは見れなくなるのは知ってるから大丈夫なんですわ。


偏見や薄い印象で判断されがちな長渕剛が、65歳を過ぎた現在もなお年間ツアーを満員で貫き通し支持されている理由がソレだよ。


あくまでも長渕剛はアーティストで、映画やドラマに求めるものはそのアーティスト長渕剛を通して訴えかけられるメッセージなので、映画としての見方よりステージを観る感覚に近い。



そういう意味では
しっかりと剛の伝えたい現代に於ける愛や絆の欠如への警笛や、若者こそ未来というメッセージはズバっと受け止めることが出来たので、観て良かった。


剛好きとしては満足
映画好きとしては何じゃこれ

そんな作品。
cinemakinori

cinemakinori