三四子

スケアリーストーリーズ 怖い本の三四子のレビュー・感想・評価

4.5
映画公開前から凄い気になって絶対見るぞって思ったのになぜか公開時に行き忘れた謎の映画。そして配信されて知る、それは神が私に授けた天啓だったのだと……って見ながら思うくらい超怖かった。映画館で見てたらマジで泣いてたかもしれない、怖過ぎて。
いままでもホラー映画を映画館で見たことは何回かあるけど、ここまで心にくる怖さなかった気がする。そこにはエモいストーリーとか考えさせられる要素、ちょっと楽しい青春や恋愛があって怖くてもストーリー見ることができた。でもこの映画は『スケアリーストーリーズ』『怖い本』って同じこと2回言ってわざわざ念押ししてくるだけあってほんとに怖い。マジで無理。

というか私の恐怖心に対して子供達に恐怖の感情が無さすぎる。どうしたの?なんかされた?ってくらいない。
こういう映画って主人公たちに対してギャルとかヤンキーが全然怖がらず罰当たりなことして、っていうノリなのにみんな恐怖心がないしみんな罰当たりなことする。
最初洋館に入った時こーやって死んだんだって!!って言ったり鬼ごっこしたりしだしてマジで目を剥いた。私は家のテレビ画面でも怖くて死にそうなのに子供たちはズンズン奥に進むから「待って、覚悟できてないから、待て待て待て」ってテレビの前で焦ってた。
病院の地下に忍び込んだ時も薄暗さとか死人の記録が綴られてる怖さを私しか感じてないらしくて泣いた。なんでそんなガサガサ元気よく漁って本を開いて元凶の女に対してこれだわ!!とかやれるの?
『病院』『地下』『いつ襲われるかわからない』『暗闇』に本当に何も感じてないの?怖すぎる…その精神が怖い…


ほんとに怖かった。人種差別、子供たちの鬱屈した感情、田舎の気持ち悪さとか色々描かれてたけどこうして感想を綴ってみても「怖かった」しか出てこないくらい怖かった。
ジャングリーマンも破壊!暴力!キモい造形!っていう出てくると萎えるテンプレなのに物凄い怖くて、ギレルモ=デルトロはやっぱ最高だなって思った。
トラックで轢き殺した後にうねうねしながら追ってくるところ怖い。

でもダントツ怖かったのはペールレディ。ああいう不安にさせる顔つきを作らせるな。怖すぎる。
ペールレディは公開前から有名だったらしいけど映画見る前に情報を調べないタイプだからそんなん出て来んのかよって出てきた瞬間泣いた。顔を見たく無さすぎて半目どころかちょっと目瞑ってたけど印象的すぎて瞼の裏に張り付いてる。
感想書くために名前調べてまた怖すぎて辛くなった。恐怖は行きすぎると体に負担がかかるんだと知った。


ほんとに怖いんだよな。ITとかと同じジュブナイル系なんだけど認識するのが難しすぎる。恐怖のフィルターにだいぶ侵される。
もちろんホラー映画で青春とか恋愛を押し出されすぎるのは好きじゃないし、ご都合主義で最後に生き残った2人がくっつくのも好きじゃないからこの映画は最高だったんだけど、でも怖すぎるんだって…。
怖いのは嬉しい、ホラー映画が好きだから。だから否定的な意味じゃないというか…。ほんとに怖かった…。

いじめっ子の倫理観がぶっ飛んでるのも怖かったんだよな。轢き殺そうとする、車を破壊する、幽霊屋敷に閉じ込める(ふつうに一生出られない可能性もある)、凄すぎて。
古い1960年代あたりの映画に出てくるアメリカのヤンチャなクソガキってこんな感じだよな…と解像度に理解を示す面もある。
でも藁にされるシーンが怖すぎて全然カタルシスない。カカシの造形がリアルすぎて一瞬本物の人間だと思って最初出てきた時びっくりした。



とにかく怖かった。怖かったしか言えないくらい怖かった。すごい怖い。もう見たくない…。



ラストのあなたの話を書く、っていう直接対決で解決するところにものすごいデルトロ映画みを感じた。ギレルモ=デルトロの映画ってそういう対話というか、幽霊の遺恨を解決して命が助かるみたいな雰囲気ない…?デルトロ味…。
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