どーもキューブ

デッド・ドント・ダイのどーもキューブのネタバレレビュー・内容・結末

デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

ジムジャームッシュ監督のゾンビ2020
(フィルマークス小盛版)

フォーカス提供
脚本監督ジムジャームッシュ。


コロナ禍あけの一発めの映画何みよう!と思っていた矢先。まさかのジムジャームッシュ最新作。

しかもシネコンデビューじゃね?というあのジムジャームッシュが近所で上映してる。しかも、ゾンビ映画だよ!絶対撮るきないでしょジム監督!と思った。

ジムジャームッシュ監督、ここでおさらい。


そもそも80年代。ニューヨークインディペンデント作家系譜。ミニシアターを牽引してきた代表的監督のジムジャームッシュ。

自主製作っぽい永遠の旅、いや部屋でひとりで踊る「パーマネントバケーション」パックインビデオだった気がする。

ミニシアター軒並み大ヒット作で初期代表作、途中に挟みこまれる黒い画面は意地悪?とさえ思っていた「ストレンジャーザンパラダイス」ちょっと見なおしたい!ダビングベータビデオで見て、ほう!これがミニシアターでヒットしたお洒落系映画かあ~と思ったものでした。ソニービデオだった。兄貴経由でジムジャームッシュは知りました。ちなみにスパイクリーも兄貴が教えてもらいました(感謝)

囚人ものを好きな人達で撮りあげた「ダウンバイロー」トムウェイツ、ロベルトベニーニ出演。このイタリア映画っぽいテイストは初期からきっちり出してくる。大好きな1作。今やTシャツになる作品。ラスト最高でしょ!

中期ユニバーサルと専属契約し、これまた今に繋がる独自のオムニバス映画を撮り続けるジム監督。同時期同じくニューヨーク派閥のスパイクリー監督もユニバーサルと連作監督します。

永瀬、工藤が日本パートで出演。全てはエルビス・プレスリー館に行くために「ミステリートレイン」DVD所持。ジムジャームッシュの日本映画好きも表れています。ちなみに相米監督作品を見て決めたそうです。「ションベンライダー」「台風クラブ」ジムジャームッシュが魅せる日本人。ジムジャームッシュの中で1番好き。

タクシーに乗って世界中は夜の街「ナイトオンザプラネット」ウィノナ・ライダーとジーナローランズを絡ませる面白さ。ジムジャームッシュ映画の見せ場でもある。

武士道をまとう黒人フォレストウィテカーの「ゴーストドック」こちらも見なおしたい!

もはやダイナーとコーヒーとタバコさえあれば映画は出来る。ジムジャームッシュ映画の極み「コーヒーアンドシガレッツ」

ニールヤングのライブ映画から音楽系映画も撮るジャームッシュ。このあたりから疎遠になっていきました。見なくなってきました、わたし。

んで「ブロークンフラワー」でビルマーレイとタッグを組み、今の今まで続いていきます。

時は2020年。世界中なんやら病の社会的距離とれ施策から映画館には行けず。からの、シネコン遂に解禁。さて5カ月ほぼおあづけをくらってからの、コロナ禍あけのシネコン一発め。

やはりジムジャームッシュ映画が見れる。

こんなジムジャームッシュ映画が、シネコンで見れる。しかも絶対にあり得ない、ゾンビ映画!そりゃー行くでしょ!という事で、タイトルもロクスポ言えず間違え噛み噛みで行ってきた。「ドントダイ、、、、ジャームッシュ1枚」って言いました。

もちろんゾンビ映画が見れるとは思ってないんですが、ポイントは

どこまで「ゾンビ映画」として表現してるか?が気になるところ。

ユナイテッドシネマ新潟、ソーシャルディスタンス席で見てきました。(田舎シネコンなんで正直いつでも隣あいてます状態だが、。)



まさしくジャームッシュのゾンビ映画にはなってましたね。予想を超えてしっかりゾンビ映画になっててびっくり。だが、そこはジムジャームッシュ映画。完全なオフビートな間と間延びした独特な空間に突然ゾンビが表れ、翻弄される、ぼーぜんとするジムジャームッシュワールド全開の映画でした。

タイトルの曲もまあしつこく聴かせるというこのセンスだよね。「デッドドントダイ」

結構切り株ってました。主にアダムドライバーが、(笑)ザックザックやってます。このざくざくで都会人ヘイトキルシーンにも笑いました、必見!

ジムジャームッシュファンは是非どうぞ。いちおホラー映画ですが、まあ怖くはありません。あっ言っちゃた。全然ホラー映画じゃないからね。ジムジャームッシュのゾンビですからね。

だって主要3人が、ビル、クロエ、アダムお三方というね。ホラー映画じゃないだろう。元祖ゴーストバスターズ、ビルマーレイ。90年代ティーンだったクロエセビニー。アダムドライバーは前作「パターソン」より。どんな主要3人だよ!クロエセビニーが素晴らしく嘆きのヒロイン婦人警官を演じてました。

この3人がゾンビの死体を見るシーンがあるんですが、これぞオフビート、これぞジムジャームッシュの独自性たるシーンがあります、必見。あのシーンのモンタージュこそ、「ストレンジャーザンパラダイス」のようなのっぺり感満載のジムジャームッシュ節だった。三者三様のゾンビ見た後のリアクションを楽しむというね。ぜひごらんください。ポカーンとします。普通だったら「ギャー」逃げようとかなるのに、みなのんびりするというニュアンス。これぞジムジャームッシュたるシーンだった。

クロエセビニーといえばラリークラーク「キッズ」だよねー!おばさんになったクロエセビニーを見てこのかわりようにびっくりするつー話。

まあ鼻からジャームッシュがゾンビスペクタクルを正面からやるとは全く思ってない。

むしろどんなゾンビワールドを魅せてくれるだろうと思ったらまさしくシニカルかつオフビートかつしっかりゾンビ映画を魅せてくれました。ラストも無茶苦茶かつシニカルで好き!

ダニーグローバーだもんね。「リーサルウェポン」の。ダニーがうごくだけでよし。ていうかお爺さんになっててびっくり!

マニアなガソリンスタンド店主。彼の店が完全ゾンビ映画リスペクト店舗で爆笑。ガススタなのにビデオドローム、遊星からの物体X、ロメロとリスペクトポスター出現。必見!着てるシャツは「吸血鬼ノスフィトラ」シャツ(自作)と爆笑。あげくにスターウォーズまで、。俺のゾンビ気にくわなかったら、ロメロとノスフィトラでも見てくれよと言わんばかりの店主。ジムジャームッシュは、確かニューヨーク大で一時期映画教えてたりしてたっけ?あとニコラスレイのお手伝いとかね。ゾンビ映画を知らないわけない。だが、ゾンビ映画に絶対よせないジムジャームッシュのゾンビを魅せてくれた。

アダムドライバーの無茶ぶり、超落ち着きぶり必見。これぞオフなビート。冷静すぎだろのジムワールドをごらんください。笑えたけど。アダムドライバーが「プリウスの調子どう?」というのも笑えた。

地面から手が出るのを重要視していたよね。あとジャームッシュなりのゾンビこだわりもしっかり出てました。

みんなちゃんと依存症というね。笑えた。ある意味ロメロ「ゾンビ」を踏襲してます。みんななんか生きてきた過去をつぶやき反芻するゾンビたち。血じゃなくて腐敗してるのもこだわってましたね。生々しくないというこだわりね。これも貫いてたね。グロいんじゃなく、すすけてるゾンビにしてたね。砂がまってましたね。

「お洒落なゾンビね」といいつつ、首をばっさりやるティルダに大爆笑! そんなジムジャームッシュの「ゾンビ」感覚をお楽しみください。シャルドネゾンビとかね(笑)子供ゾンビとかね。しっかり描いてましたよ。わりとロメロ踏襲していた。獰猛じゃないゾンビでした。

あとコーヒーもしっかり出てました。必見。ジム監督はコーヒー大好きなんね。ダイナーのコーヒーね。ゾンビに浴びせてたから笑いました。

豪華メンツのホラー映画というかホラー小話というかやっぱりジムジャームッシュのホラー映画になってましたあー!笑えたし。

テレビはゼロサブリミナルってたよね。ザックスナイダーの「ドーンオブザデッド」みたいだが。

RZAは今や監督まで。着ているシャツのワッペンに注目!細かい芸あり。「細部まで味わえよ」の名台詞!ウータンのリーダーだったんだ。ワッペンに「Wu」と明記と細かい指摘。これは後から知りました。「燃えよ!ウータン」だもんね。「燃えよドラゴン」だもんね。ブルースリー好きだよね。ウータン今や、H&MでTシャツになってしまうラップグループだもんね。アルバムは聴いたことない。

ラストのほう「え~!何その台詞」というセリフありますが、ある意味無茶苦茶なラストで苦笑いかつ苦笑いなラスト。

なんかね、最後の最後。アダムドライバーになんでだよ!お前そんな冷静なんだよ?ってビルマーレイ聴いたら「台本読んだから?」という台詞があって、、、

???「え~」みたいな「え~」という発言でした。真意は見てみてね!ラストまで悲哀なるアダムとビルでした。

通常なら脚本段階で駄目だしされそうなラスト。だがジャームッシュだから許されるラストでした!このラストはわりに皮肉めいて好き。希望なし、ゾンビ出たらもう終わりのニュアンスだった。

あと子供たちが出ますが、ラストもきちっと描かない終わり方で未消化ぱなかったなあ。出演させたかったんでしょうね。寮なんかな?!男の子がいつも女の子塔に行って連れ戻されるという落ち。屈強な職員が笑えます、本作で1番活躍しそうな登場人物でした。

ティルダウィンストン反則の熱演も必見!笑えた。ある意味「ゴーストドック」のフォレストウィテカーを想起するのは、もはや言うまでもない。ジャームッシュの東洋キャラ風。「キル・ビル」かよ!とツッコミ。出てる仏像のヘンテコさにも微笑。ティルダに念仏唱えさせる面白さね、こういう面白さのみジムジャームッシュ映画ってね。ガチガチのゾンビ映画を期待しないでね。小さな違いを楽しむ映画だす。

イギーポップゾンビ。注目のゾンビだす。イギーの音楽的活躍がまるでわかりませんが、。

わたしはスパイクリー組のロジーペレスが出ていたのがうれしかったなあー。超脇役だが。「ドゥザライトシングル」冒頭無茶苦茶踊ってたロジーです。ロジーペレスはちょいちょい映画続けて出演してました。

まあ絶対ホラーなんか撮らない監督が撮る。ジャームッシュが撮った素晴らしくジャームッシュなシニカルコメディホラーでございました。

ジャームッシュファンはぜひ!


さて
ジャームッシュのゾンビ2020
ぜひごらんください。

追記
だってニューヨークのインディペンデント青春作家が40年たって、ゾンビ映画撮るなんて思わなかったよね。ジャームッシュ67才だもんね。白髪若いときからだからね。あえてのジャンル映画だよね。大変面白かっただす。

ジムジャームッシュ映画あとどんなワールドを魅せてくれるんだろう。また私は、オムニバス映画を見てみたいなあ。「ナイトオンザプラネット」のようなね。

ジムジャームッシュ映画気になった方は、ぜひ初期3部作に挑戦してみてください。全く違う作風です。のけぞるほど眠くなったらむいてないと諦めるべきだ。

追記2
トムウェイツ!世捨て人の方だった~。公式サイト見て回る今知った。わからなかったわあ~。初期からのジムジャームッシュ組。
あと何気にミュージシャン率高め。
ある意味ヒロインのセレーナ・ゴメスさんもミュージシャン?!
RZAはウータンクランだし!
あのノスフィトラシャツの方もミュージシャンやし。

あと今回クレジットみたら、ジムジャームッシュ音楽も参加してましたね。目をこらしてみたら名前あった。
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