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デッド・ドント・ダイのsomaddesignのレビュー・感想・評価

デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)
4.0
ビル・マーレイが元気そうであれば、とりあえず自分は満足できちゃうらしい

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アメリカの田舎町センターヴィル。退屈だが平和な町の警察署に勤務するロバートソン署長とピーターソン巡査、モリソン巡査。いつもは他愛のない住人のトラブルの対応に日々追われていた。しかし、ダイナーで起こった変死事件から事態は一変。墓場から死者が次々とよみがえり、ゾンビが町にあふれかえってしまう。3人は日本刀を片手に救世主のごとく現れた葬儀屋のゼルダとともにゾンビたちと対峙していくが……。

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ずっと楽しみにしてて、コロナで見れなくなってやっと見れた((o(´∀`)o))
おかげでハードル上げすぎたかも!

映画館でジム・ジャームッシュ作品見るの初めて。
ビル・マーレイにティルダ・スウィントン、アダム・ドライバー……豪華キャストがぶっ飛んだ映画に勢ぞろい。シンメトリーな画面が続くとジム・ジャームッシュてよりウェス・アンダーソンの映画みたいだ。

なんかこう、もっと突飛なゾンビコメディを予想してたけど、バリバリにA・ロメロオマージュで社会風刺的なゾンビ映画で驚いた。
ジム・ジャームッシュらしいボケーッと日常の空気感が、非日常なパンデミックで一転。奇しくも今のコロナ禍と重なる。

ロメロが提示した消費社会への痛烈な皮肉としてのゾンビ。現代ゾンビ像の増補改訂版みたいな作品だと思った。無思慮な習慣や消費するだけの生活、企業の強欲と環境問題、癒着した政治腐敗と権力の横暴……といった現代ゾンビ映画が度々メタファーとしてゾンビに負わせてきた役割を全部乗せ。ぶっ飛んだ映画だからこその警句をバカのふりしてテンコ盛り。

ジム・ジャームッシュ作品にしては珍しくセリフでテーマが語られる。おかげで淡々とした難解なイメージのある作品群の中では一番わかりやすい作品だと思う。(自分もいっぱい見てるわけじゃないけど)

ロメロの「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」にも登場した67年式ポンティアック ルマンを運転するセレーナ・ゴメスが超カッコいい。ボビーならずとも「あなたゾンビ映画に詳しいのね」って言われたい。(ゾンビ映画ばっかり見てるコドモオトナを揶揄するニュアンスがあったとしても)

ジム・ジャームッシュの映画だと思ってたけど、魂はロメロのそれで、ルックはウェス・アンダーソンやデビッド・リンチ。最終的に大林宣彦監督作みたいなポカーンとしちゃう後味。


ジャンル映画は5点中3点満点評価として、数あるゾンビ映画の枠組みから飛び出すことなく存外普通。それでいて日本刀を振り回すティルダ・スウィントンの突拍子もなさ・格好良さ・面白さを考慮してこの評価

29本目
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