黒川

デッド・ドント・ダイの黒川のネタバレレビュー・内容・結末

デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

初ジム・ジャームッシュ。多分監督の他の映画観てたらもっと変わるんだろうけど、とにかくシュールで良くわかんねえっていうのが正直な感想です。でも割と面白系ゾンビ映画へのオマージュは感じた。ベースにあるのバタリアンだよねこれ?

地球の公転軸がズレたことで日照時間がおかしくなり、日常が少しずつ狂い出した世界。日照が長くなりただならぬ気配を感じたものたちは各々何かに備えたり備えなかったり全然違和感に気づかなかったりしながら生活をするのであった。

ネタバレしたところで大体よくあるゾンビ映画のテンプレートに則ったお話なのですが、本作で特筆すべきなのは、浮浪者ボブ(モフモフのトム・ウェイツ)が言うように、物質主義に支配されて欲に塗れたものたちが、その欲望を捨てられず死ぬことをしないという指摘。多くのゾンビ映画でゾンビたちが生前の行動を繰り返している描写がある。ロメロの「ゾンビ」で「彼らは生前のルーティンを繰り返している」という説明がされて以来、多くの映画に踏襲されてきた設定だが、本作ではそれを「物質主義」と切り捨てる。森でその日の食べ物を自分で見つけ、誰かが捨てた本を読む。世捨て人ボブは失うものも、固執するものもない。皆が逃げ惑いゾンビ化しWiFiやBluetoothを探す中、彼だけは寝ぐらにする森の中から双眼鏡で俗物たちの闘いを見物するのだった。多分それが本作のテーマだったのだろう。フラグ立てといてへし折りまくるしティルダ様あんなだし(レポマンかよ)、突然メタ構造ぶっ込んでくるし。悪い作品ではないけれど、多分作家性とか知らないといけない類なんだろうなという感じがした。でも演者が豪華だし割と笑える。でも若干滑ってる。ジャームッシュ作品今度ちゃんと観てみよう。あと下人の行方を誰も知らないように少年院の子供達どうなった?

個人的にビル・マーレイとブシェミとイギーポップとトム・ウェイツが良かったのでそれで満足。イギー何やってんだよ。あとケイレブ・ランドリー・ジョーンズのお店が普通にホラー好きにはたまらないし行きたい。もっとじっくり内装を見たかった。彼とハンクの死に方もバタリアンで良い。基本バタリアン時々サンゲリア。
黒川

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