いの

9人の翻訳家 囚われたベストセラーのいののレビュー・感想・評価

3.6


本来なら、原作者と翻訳家とは相思相愛。それが基本なんだと思う。基本というより必要不可欠。お互いが理解しあわなければ成立し得ない。その一番大事なところを全部スルーして、いかに話題性をつくり、いか大量に売りさばき、いかに儲けるか。それのみを重視したために、起こってしまった悲劇。出版物は「文学」とか「文化」とか「芸術」とかいった扱いを受けず、「売れるブツ」としての扱いを受ける。


屈指のミステリー小説第3弾は世界同時出版!偉業を達成するため、情報流出をは何としても防がなくては!そのため、各国の翻訳者9名は、地下室に隔離され、徹底的に管理and監視される。そんなアホなことあるかい!と思うたら、実際『インフェルノ』出版時に、原稿流出を恐れた出版社によって、翻訳者の地下室隔離はホンマに行われたらしい。そなアホな!


めずらしいことだけど、話の主流の部分、私わかっちゃった!えっへん♪ でも、何故そういった行為に及んだのかという目的の部分は、全然察することができず、最後になって理解。そして、鑑賞後に脳内で復習して、さらに納得。


でも、この題材だったら、もっともっと面白くできたと思う。もったいないっちゃ!翻訳者の言葉へのこだわりとか、原作のこの単語を翻訳者はどう訳すか等々、翻訳者の仕事に、もっと光を当てて欲しかった。この映画自体が、1人ひとりの翻訳者のこと、あんまり大事にしてないんちゃうの?騙すとか騙さないとか、そんなことよりさ。
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