いの

突撃のいののレビュー・感想・評価

突撃(1957年製作の映画)
4.2
1957年製作。スタンリー・キューブリック監督作品。このときキューブリックは20代最後。


第一次世界大戦中の西部戦線。フランス軍のはなしだけど全篇にわたって英語なので、あれっこれはイギリス軍のはなしだったかしら?とちょっと混乱してくる。「1917」の塹壕のような映像が出てくるし。


戦時中はなおのこと上官の命令には絶対服従なわけだけど、もしその上官の命令が全く納得いかず全身全霊で抗議したいような命令だったとしたら、部下はそれでも服従しなければならないのか。そのことが最初は3人での夜間の話で出てきて、次には万単位(憶測)の兵士の命にかかわる話となる。服従して命令通りに行動することが“負け”に直結していくのだとしても、それでも部下は服従すべきなのか。“愛国”とはいったいなんなのか。上官の“愛国”は、「悪党の最後の口実」なだけじゃないか。そのようななかで、結局抹消されるのは下っ端の兵士という、なんともいえないやるせなさ。集団のなかで個を貫く困難さは、戦争時にはいっそうその難しさがあらわになる。軍法会議の場所は広々としていて、壁の白さ(照明で明るくしているのだと思う)が際立つのだけれど、その白さは純白とは無縁の白である。



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この映画に出てくる女性は終盤ただひとり(ドイツ人女性の役)。演じたクリスティアーヌ・キューブリックって、スタンリー・キューブリックの妻なんですね。wikiったら、この撮影後に結婚したとのこと。スタンリーったら、前夫から彼女を奪ったのかしらね(憶測) 
いの

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