Aoi

わたしは光をにぎっているのAoiのレビュー・感想・評価

わたしは光をにぎっている(2019年製作の映画)
4.0
青学特別講義にて鑑賞。

田舎から上京せざるを得なくなった主人公・澪。亡くなった父の昔馴染みが店主をしている銭湯で居候を始め新しい街での生活が始まった。

昔ながらの日本家屋、暗くて狭い路地裏、ちょっと寂れてるけど安心感のある商店街。こういう景色あったなとどこか懐かしさを覚えるが、押し寄せる再開発の波やエチオピア人との交流に、これはあくまでも現代だと認識させられる。

失われゆく日常、忘れられていく風景に焦点を当て、そこに残る温もりを感じる。
切り取られる画の構図が儚くもこの上なく美しい。

過去と未来をつなぐ銭湯という不思議な空間で、澪と一緒に温かさに沁み入り失われていくものの存在を心に刻んでいく。

かたちあるものはいつか失くなってしまうけれど、言葉は、心は、決して消えることはない。その光をしっかりにぎりしめることで新たな一歩を踏み出せる。

静かだけど“しゃんとする”という力強いメッセージが感じられる。
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