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るろうに剣心 最終章 The FinalのHrtのレビュー・感想・評価

3.4
日本アクション作品の金字塔だと思う。
役者およびスタントマンたちが常軌を逸する熱量を注ぎ込み演じ切った役を、アクションをしっかり撮れる監督が練られた構図で完璧に画面に収める。
これは只事じゃない。
スクリーンを観ていて気持ちよく全ての動作がはまっていくのはまさに実写るろうに剣心であり、アクション監督谷垣健治が率いるチームの偉大な功績だろう。
最後の剣心vs縁は既にシリーズ史上最高のタイマンになった。
ただシリーズとしては『京都大火編』でクライマックスを記録し、『伝説の最期編』で頂点のまま収束してしまっていたと思う。
これは映画だけじゃなく原作そのものが京都編というスケールの大きな章を経て剣心の個人的な物語に回帰する流れのせいもある。
剣心のトレードマークである左頬の十字傷に迫る話の中で、彼の過去により焦点が当たることは別にいい。
それを実写版最終章だからと、無理にスケールアップを試みた結果事態がひどく散らかってしまった印象を持った。
とりわけ登場人物の扱い方は本当に雑に感じる。
とってつけた理由で唐突に登場しては投げやりな動き方を充てられ、気が付けばアレがあの人の本編ラストカットだったのかとなる。
そこにはカタルシスもなにも感じられず、ただ実社会で6年経っての同窓会のような雰囲気を醸し出すだけに留まる。
アクションは敵も含め出色の出来栄えだっただけに話運びが悔やまれる。
映画としては褒められるものではないと思う。
ほぼ全編、灰なのか雪なのか分からないものが降り続ける。
剣心の頬に十字型の傷ができたあの日と同じように。
際限のない罪の意識か、静かに燃え盛る憎悪か。
いずれにしてもいくら降り続いたところで積もることはない。
本作の感想にしても同じことが言えるだろう。
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