松原慶太

罪の声の松原慶太のレビュー・感想・評価

罪の声(2020年製作の映画)
3.2
うーん、評価しづらい作品だなあ。

昭和最大の未解決事件のひとつである「グリコ・森永事件」を題材にとり、いくつかの「if」を介して、事件の真相に迫ろうとする意欲作であることに間違いはない。

本作の中では「グリコ・森永」は「ギンガ・萬堂」と仮称を用いられているものの、事件の推移やディテールは史実に則っており、その意味での迫力はあった。

実際の事件でも、脅迫電話の音声には子どもの声が使われており「もしもその子どもが成人後に事件との関与に気が付いたら」という「if」は、充分説得力のある補助線だと思う。

俳優の演技も、関西各地のロケーションも素晴らしく、ところどころ傑作になりそうな雰囲気はあった。

がしかし。枝葉末節が多すぎるのか、ストーリーテリングのテンポの問題なのか、そこらへんの要素が、いまひとつ映画的な興奮へと昇華されていないような気がした。

戦後最大の未解決事件なのに、早々に真犯人の線が割れてしまうのも、なんだか軽い感じがした。
松原慶太

松原慶太