こたつムービー

罪の声のこたつムービーのレビュー・感想・評価

罪の声(2020年製作の映画)
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ここまで行けば素晴らしい出来。集中した。

「騙し絵の牙」を観て「むむ?」と良いものを感じ、同原作者塩田武士のこの作品を観た。まだ2作の映画化ながら、この作者の良さを知った。

映画自体もロケ数が多く、ちゃんとしていることにまず感心し、なにより老齢の「顔」をここまで揃えたことに感心した。真っ当に「ちゃんとしてる」作品だ。


事件当時3才ってことは・・
1981年うまれか


と鑑賞後調べると、ちゃんと星野源は1981年生まれだった。先述老齢の「顔」の並べようといい、土井監督のキャスティングは気合いが入っている。

配役はなんといっても総一郎役、宇野祥平だ。
映画の重力のすべてが彼に集中するなか、本当に素晴らしい演技を披露する。彼の演技だけでもこの作品に十二分の価値があり、暗いアパートのシーンは演出が憎いほど上手い。


編集デスク、あんなに一つの事件に人割かないだろ、とか、松重豊はOBなのになんであんなに出入りできるの?などツッコミどころはむろんある。エピローグも長い。

が、これはグリコ森永事件に違う角度から光を当てるジャーナリスティックな良作だ。子供の「ものごころ」をここまで考えることもそうはない。数才の違いで天地を分けている。

たしかに録音されてるんだよな・・
素晴らしくも、哀しい着眼点だ。