Arbuth

はちどりのArbuthのレビュー・感想・評価

はちどり(2018年製作の映画)
4.3
観てよかった。
主演のウニを演じた子がすごい。本当にすごい。日本で言えば芦田愛菜クラスの逸材のように思える。
監督の撮り方が上手いのもあるのかな?でもすごく存在感がある。ちょっとだけ昔の安達祐実を彷彿とさせる顔立ち。

青春映画って本来こういうものなんじゃないかな、と思った。
初恋とか友情とか部活とか、そんなキラキラしたもんだけじゃなくて、モヤモヤしてムシャクシャしてどうしようもない感情の鬱屈が溜まってしょうがない、っていうのも青春時代の大事な特徴。
そういう部分をしっかりと描いてたな、と感じた。

家父長制度、男子中心制度の息苦しさ。兄からの暴力、親からの無関心。進学のことしか頭にない教師。観てて本当にうんざりする。非行に走りたくなるウニや友達の気持ちの動きが丁寧に描かれてる。
一方でトランポリンで友達と無邪気に飛び跳ねる時の透明感、ボーイフレンドとのラブラブなひと時もあの年代ならではの青春の姿。

女性だけでなく男性にとっても家父長制度や辛いものだったんだな、と男性陣の唐突な涙からは伺える。94年、先進国の仲間入りを果たそうと必死にもがいている最中の韓国社会の閉塞感、そして最後象徴的に描かれるソンス大橋落下事件。

あまりにも嫌なことが多くてやりきれない、優しくない世の中でハチドリのように必死に羽ばたき続ける少女。
ウニの最後の表情。光の当たり方。最高にエモい…!!
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