テレザ

燃ゆる女の肖像のテレザのレビュー・感想・評価

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)
4.5
<微ネタバレ>

あまりにも完璧すぎる映画、と言い切れてしまう。世にも甘美な、見る/見られるの華物語…

18世紀のフランスが舞台でありながら退屈しがちなクラシカルな画が続くのではなく寧ろ、現代アート的とも言える意匠やシャレた構図が散りばめられていて良い。
BGM的なものは祭りの夜の輪唱以外は存在せず、全編を通して薄暗い屋敷内の映像はどのカットもそれこそ額縁に入れたいほどに静謐で絵画的、それと対比された海の青さや波の動きの鮮烈さ、極限まで削ぎ落とされた詩のような会話(初対面での会話が「夢を見ていました」「何を?」「走ることを」って何?堕天使すぎんだろ…)誂えられた全てが美しい…
そしてエロイーズとマリアンヌ。画家とモデルという関係性はそもそもがエロティックな題材だけど、それを見事に女性のみ、いや女性同士だからこそ体現できる純粋すぎるラブロマンスへと昇華させられた。
そして視線の目合(まぐわい)の後に不意に訪れるマリアンヌの月経の血は欲望する女の運命であると同時に、女中ソフィが堕胎を決意するように欲望される女の悲劇でもあり得る。穴、奥深きや…。

相手を見るとき、また相手も自分を見ている、相手を思うときも同じく。
二人の目ヂカラが好き。特に、強風の日のマスクをして一層力強さの増すエロイーズの瞳。見られる側であるはずのモデルがこちらを射抜く視線にマリアンヌはさぞドキッとさせられたでしょう。
炎。その幻想的な儚さは二人の関係そのものを表しているかのよう… そしてキャンバスの上で燃える炎はアート的に最高にキマッてた。
ラストの長回しの良さがヤバい
(もうね大事なことは全部宇多丸のラジオ聞いてください、じゃ)
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