テレザ

哀れなるものたちのテレザのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.8
直球で素直なフェミニズム映画…と言っていいのかな? ただそれだと、あまりにも語るところがない。
「女性が性に奔放であることが非道徳的であることや、男根による女性支配は当然、といった文脈はあくまでもその時代の文化的な背景に依るものに過ぎないのであって…」という例のやつを奇抜な世界観で表現しただけ、ということになってしまうので。

だから何かハッとするようなレビューをしようと思うなら、この監督の過去作や性癖を調べなきゃならんね。あと原作小説とか。面倒だからしないけど…

ただ今作のビジュアルの良さや演出はそれだけで観る価値があるのかもわからんね。どのカットで止めても、そのままポスターにできそうなオシャレな構図と色使い。同監督「女王陛下の~」でも多用していた魚眼レンズがまた。

成熟した女の体が好きだけど頭脳は子供でいてほしい、みたいな欲望を登場する男性キャラ全員が持っている。こういう男たちをPoorThingsと呼び、また自らの性を謳歌できない女性に向けてもPoorThingsとベラは呼ぶだろう。

彼女が自由にセックスするたびに哲学的な知性を獲得していく筋書きにも示される通り、性的に自由であることが女性の自立心を底上げすることは間違いなく、これからも全女性にはヴァギナ・オーナーとしての誇りを持ち続けてもらいたい。

【追記】この物語は単なる「おっさんの妄想」もしくは「ハッピー・フッカー(楽しい売春婦)の話」、要は、真のフェミニズムとは程遠いとする意見もあると聞き(英ガーディアン誌参照)、異論の余地が無い笑
やはり男はフェミニズムを作れんのだろうね。
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