テレザ

ユンヒへのテレザのレビュー・感想・評価

ユンヒへ(2019年製作の映画)
4.8
「この映画ヤッバ」「キタコレ」とか呟きながら観て、案の定かなり泣いた。
小樽の積雪を全て溶かすくらいの熱い涙出てたと思う。
傑作。

わたし的にはバリー・ジェンキンスの『ムーンライト』超えてきた。
こういったクィア映画(と括るのもアレだが)の良さの一つは、世間の目や恥じらい、ずっと押し殺していた感情がリリースされるときの最も人間らしい瞬間を目撃できるから。その瞬間と、それへと至る過程の描写が抑制的で誠実であれば尚良い。今作は完璧。

隠された想いが息を吹き返したときの動揺や苛立ち。
勇気がないから再会の手筈を整えるなんてできない。
でも無かったことにはしたくない。だって「あなたと出会ったから、私は自分がどんな人間なのか知ることができたの。」

主演の二人がめちゃくちゃ良いし、叔母さん訳の木野花さんもかなり良い。ぎこちないハグのシーンは木野さんの提案だそう。
みんな声があまりにも美しい。
再会を果たしたときのユンヒの表情が自然すぎて…良すぎて…どうしてあんな芸当できるん?

雪景色によるものか、画面が一貫して詩情に満ちていた。
ポエムが本当によく似合う。

あとマフラーがみんな可愛い。

台詞や描写で説明しすぎてないところが良い。意味の回収のために二回目の鑑賞を愉しめるから。

世間に応えるために結婚して、自分を罰するようにして作った子供だけど、
その子供が成長し、いまはそんな母親の「本当の姿」に寄り添おうと、こっそり見守ってくれている。
監督が語るように、家族に傷つけられてきた人間が、新しい家族によって癒される物語であった。
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