ShinMakita

バクラウ 地図から消された村のShinMakitaのネタバレレビュー・内容・結末

3.3

このレビューはネタバレを含みます


ブラジルの田舎の村、バクラウ。寂れた村だが、一応ネットも繋がるし、学校も商店も風俗店もある。しかし水は貴重だ。バクラウに近い町セラ・ヴェルデの市長トニーがダムを停止してしまい、水は遠くから給水車で運ぶことで賄っているのだ。祖母の死を機に帰省したテレサは、村の友人パコッチが以前ゲリラの一員だったと聞かされる。ゲリラのボス・ルンガは当局に追われて逃走中だが、パコッチはその行方を知らないらしい。
テレサの祖母の葬儀が済むと、村に不可解な出来事が次々と起き始める。タブレットで村の衛星写真を見ると、村全体が消えていたのだ。その後、村人の頭上にUFOが現れる。さらに深夜、数頭の馬が村に迷い込んできた。馬は、少し離れた農場のものらしい。その翌朝、給水車に穴が穿たれ貴重な水が減ってしまう。パコッチは仲間を農場に派遣するが、その直後、村じゅうで通信機器が全く使えない状態になってしまった。これは何かの超常現象なのか⁈

「バクラウ」

以下、地図から消されたネタバレ


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渋谷イメージフォーラム初見参。ここでしか上映してないんだよね。入口が狭くて密になるし、シアターも古いしトイレも狭いし、最悪の劇場でしたが、映画そのものには満足。

「不条理ドラマやオカルトは苦手だし…」と及び腰のあなた、安心してください、そんなもの一切ありません。これ以上はネタバレになるので、未見の方は読まないほうが良いですよ。とりあえず、「要塞警察」を偏愛し、S.クレイグ・ザラー監督のファンである俺にはドンピシャな作品だとは言っておきます。


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この不可解なお話、村を憎むトニー市長が傭兵をやとい村人殲滅を目論んだ、というのが真相でした。謎の円盤はUFOじゃなくて傭兵たちのドローン。ネットが使えなくなったのは妨害電波装置のせいでした。次々と虐殺される村人たち…とはならず、村人たちは伝統的残虐精神を発揮して、傭兵たちを返り討ちにするのです。傭兵たちのポンコツぶりも相まって、まあ凄惨なクライマックスでしたねー。田舎者をナメると痛い目に遭うというお手本ですよ。ザラー監督好きから見ると、本作の人体破壊度、引けを取らないですよ。かなりアガりました。もうちょい尺長く見せて欲しかったけどね。

劇中&エンディングにカーペンター映画っぽいシンセが流れるなぁと思ったら、本当にカーペンターの曲でした。村の学校名もカーペンターのポルトガル語表記だったりして、相当影響受けているんでしょうな。シチュエーションも、「要塞警察」ならぬ「要塞村」だったしね。

「ルーキー」でイーストウッド御大にとんでもないことをしていたソニア・ブラガも婆さんになって、肝の座った女医を好演。傭兵部隊のリーダー役でウド・キアも出てきます。全裸爺さん、派手なバイクカップル、トミーガンフェチ女、サイコパスマッチョ、などなどクセの強い人間しか出てこない映画でしたなあ。


というわけで結論。ザラー映画ほどの洗練さと潔さはまだ無いけど、十分カタルシスを感じさせてくれるバイオレンス。ソフトが出たら、買ってしまいそうだ(笑)
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