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ANNA/アナのShinMakitaのレビュー・感想・評価

ANNA/アナ(2019年製作の映画)
2.0
1980年代終わりのモスクワ。
チンピラと同棲している麻薬中毒者アナ・ポリアトバは、男がやらかしたATM強盗に巻き込まれ犯罪者となってしまう。しかし底辺に堕ちた彼女にKGBが救いの手を差し伸べる。祖国のために暗殺者になれば、5年で自由になれるという言葉を信じたアナは、教官アレクセイの元で訓練を受け、部長オルガの出した命がけの最終テストも合格した。最初の任務は、ファッションモデルとなりパリで生活すること。ロシアを裏切っているモデル事務所経営者を抹殺するのが目的だ。首尾よく事務所に採用され、標的に接近したアナだったが…


「ANNA/アナ」

以下 殺って、ネタバレする。


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リュック・ベッソン監督最新作。
しかし最新感がなく、ストーリーは「ニキータ」の焼き直し。底辺生活から殺し屋になり、教官に愛され、レストランで絶対絶命になるとこまで同じ。ここで気付いたんです。

これは確信犯だと。

どんなヒロインドラマを作っても常に「ニキータ」と比較されるんだから、いっそニキータをセルフリメイクしてやろうというベッソンの開き直りに見えました。しかしただのリメイクでは芸がないから、CIA対KGBというB級スパイ映画のテイストを混ぜてみました…という感じ。

いや、こんな開き直りと野郎好みのB級感だけなら「レンタルで充分」という評価に落ち着くのですが、本作はさらにとんでもない飛び道具を出してきます。それは

「実はあの時、こんなことが起きてました」という時制巻き戻しの天丼(笑)。

話が進んだと思ったら数ヶ月前に戻り、また話が進むとまた数ヶ月前のアレが描かれて…の繰り返し。イライラしながらも、あんまりにやり過ぎなので段々と楽しくなってくるんですよ。なんだろう、この下らなさ。あれ、俺こーゆー間抜けな展開、どこかで慣れ親しんでた気が……


そこでハッとしましたよ。これはブライアン・デ・パルマの世界だと!


これまで、ハリウッドのメジャースタジオのカネかかった大作に意地張って対抗してきたベッソンが、ついに我が道を見つけた瞬間ですよ。なんとハリウッド本流からドロップアウトしたデパルマっちのフォロワーに活路を見いだしたんですよ、多分。

そんな画期的な作品、「ANNA/アナ」、オススメです。KGBじゃなく、ベッソンをナメるな!

…ヘレン・ミレンの存在感は流石の一語。ロシアより愛をこめてのロッテ・レーニャ以来のロシアンスパイを演じていました。
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