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エターナルズのHrtのレビュー・感想・評価

エターナルズ(2021年製作の映画)
4.0
始まりの説明書きのスクロールが『スター・ウォーズ』だな、と思った。IMAXで鑑賞したのでバックで流れる低音の不穏な響きに内臓が揺れる。
クロエ・ジャオ監督らしいショットが随所に見られ、しかもそれがMCUのルックとも融合していてかなり異質な、異物感のあるスクリーンが楽しめる。
いきなり10人もの主要な新キャラクターを出されるのは初めてのことでどうなるか分からなかったが全員に性格上の行動が程よく割り当てられとても見やすい構成になっていた。
エターナルズと呼ばれるこの集合体自体が能力として各々に役割が与えられているのでその連携で地球に巣食うディヴィアンツを退治していくということになっている。
思ったよりもずっとスーパーヒーロー映画らしい易しい内容でしかもアクションシーンがかなり多かった。
MCUは既にアクション撮影のフォーミュラが出来上がっているので分業としてアクションを撮ることもできるが、ここにもジャオ監督のシグネチャーとも言えるショットが散見されたことから監督自身でカット割も考えたんだと思う。
というかフィルモグラフィからもこれだけ作家性を如実に感じさせる監督なのでたとえ意識外だとしても鑑賞側からはその端々を捕らえることができる。
ディヴィアンツを退治し人類を地球に繁栄させることで生まれるエナジーを利用し新しいセレスティアルズ、ティアマトを地球滅亡と同時に誕生させるのが真の任務というこの植民地主義的な筋書きはまさに他国からアメリカへ渡りその先住民族を撮り続けてきたジャオ監督が扱うべきものだと感じさせる。
その意味でエターナルズの1人であるセルシはジャオ監督の人格がかなり乗り移っている気がした。
新たなMCU作品への布石も打たれたポストクレジット。そしてエターナルズは帰ってくる。続編もジャオ監督の続投を強く願う。
フェーズ4に入って数作、いよいよ一見さんお断りな排他性を見せつつ今までのファンも供給過多な様相を呈すのも理解できるが、自分はこれからも変わらないスタンスで追いかけていこうと思える一作だった。
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