Ayax

プライベート・ライアンのAyaxのレビュー・感想・評価

プライベート・ライアン(1998年製作の映画)
3.7
スピルバーグの自伝映画「フェイブルマンズ」が公開されるので、観たことないスピルバーグ作品を観ようかなと思って、Netflixにあったので鑑賞。戦争映画があまり好きではないので、タイトルはもちろん知ってたけど観たことがなかった。"private"って何かと思ったら、兵卒とか二等兵という意味で、階級的には最下級らしい。
感想としては、お金すんごいかかってるなーと。クライマックスの瓦礫の街、こんな瓦礫のまま残ってるわけないからセットなの?そうなの?マジで?と思いながら観てた。後で調べたら丸ごとセットらしい。どひゃー。セットっていうか建設じゃん。ハリボテの家もあるかもしれないけど、階段とか中までちゃんと作られてて、ええ~その地雷のケーブル、ワンシーンでどこまで引くの?って思った。戦車についても、当時のもので動くのが残ってはないだろうから、まさか戦車もこのために作ったの?と調べたら、さすがにそれはなくて、キャタピラが同じ型の別の戦車とかを用意したらしい。
面白かったのが、撮影前に軍隊のかなり厳しい訓練をマット・デイモン以外のキャストが10日間くらい受けていて、何も知らないマット・デイモンを呑気に撮影で合流させて、わざと彼を敵視させるようなギスギスした雰囲気を作ったらしい。自分はその現場で働きたくないけども。
あと撮影が手ブレで臨場感出すためにハンディカメラが使われてたり、いろんな角度から撮られてて(特にクライマックス)面白い。と思ったら、撮影監督がヤヌス・カミンスキーだ。去年、スピルバーグと組んで「ウエスト・サイド・ストーリー」を撮った方で、映像が素晴らしくてどひゃーってなった方だった。スピルバーグとめっちゃ組んでるんだな。最新作「フェイブルマンズ」もこの方だ。
撮影というか演出だけど、弾切れになって、アパム弾持って来い状態のときに、壁の向こうに人の気配があって、誰かわからない(アパム=味方かもしれない)けど撃つシーンの見せ方上手すぎない?
そして大変不謹慎だけど、最後の敵を迎え撃つ作戦を立てるところから、実際にその作戦がワークするのかというところでアガってしまった。敵と言ったけど、あっちからしたらこっちが敵だしね。
戦場の臨場感(音響+映像)がすごいので、映画館で観られればもっと良かっただろうと思う。
戦争しんどいなという点は他の方の感想とほぼ同じ。部下に「(その任務は)気が向きません」と言われて「気が向く任務なんてない」って返すのとかそうよなあって思うし、戦争で自分がやってきたこと(人殺しだったり、仲間を救えなかったり)は何一つ誇れないけど、ライアンを帰還させられたら胸を張って帰れるかもしれないと、極限状況で自分を奮い立たせてるのもね。想像を絶するので言葉にするの難しい。ライアンなんて知らんし、正直どうでもいいけど、大尉にとって戦場で唯一救いになりうるのが彼を帰還させることだったのかも…と言えばいいかなあ。
兄弟が全員戦死したらその家の働き手がなくなるのと家系が途絶えるので、生き残った最後の一人は家に返すというルールは本当にあったらしい。ただ、本作のライアン救出作戦はフィクションで、救出するチームが編成されたという事実はないらしい。
戦争映画は好きじゃないけど、観るとちょっと歴史を調べたり勉強するからそういう意味では良い。
この映像すごいなあって撮影監督の名前を見たりするので、Filmarksでも撮影監督の名前も入れてくれたらいいなあ。今の仕様は、監督+脚本+キャストだけなので。
Ayax

Ayax