雨丘もびり

プライベート・ライアンの雨丘もびりのネタバレレビュー・内容・結末

プライベート・ライアン(1998年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

【following様の鑑賞リストから選んで観てみた】 
苦手ジャンルにも挑戦してみようと思って観た。
やっぱり食わず嫌いは良くないわと実感した一本。

冒頭20分のノルマンディ上陸作戦シーン、長い。終わらない。恐い。
怯え方や死にざまで人柄を描き分けるという発想が鬼だな監督。
戦争に臨むスタンスや意気込み、家族愛の由来が兵士ごとに違うね。
訃報をタイプする女性たちが、他人ん家のことにドライなの辛辣。

【・・・あれ?わりと良い話?】
大前提として、戦争に参加し理不尽な命令に命を掛けさせられる状況は悲劇だ。
本作でもその観点は強く感じたし、凄惨な場面をたんたんと見せてくる構造は殺し合いへの嫌悪を呼び起こす。
死地を掻い潜り生き延びて、これから敵軍殲滅に赴くと思った矢先、生死不明の二等兵を敵地のど真ん中で探して保護しろという特命。異議申し立ては許されず、命を懸けて任務に赴く8名の胸中たるや。。。

ただその一方、この"フィクション"において。
ミラー中尉たちは命令に捕らわれすぎず、結構自由に振る舞うので、二等兵ライアンを助けるために命を落としたわけではないように見受けられる。
人間性を損なわれない兵士たちの描写が迫真である反面、戦争の不条理性を削いでいるように感じた。
カパーゾは命令無視で油断したことで撃たれるし、
ウェイドは任務内容にない作戦のせいで死ぬ。
「ライアンを助ける任務のために2人死んだ」と鬱憤を溜めるのはお門違いでは?と疑問に思った。

終盤。
ライアンは命令無視して最前線に残る。ミラー中隊も独断で参戦する。
私には、登場人物それぞれが思いのままに生き、その結果として死んでゆくように見えた為、
ミラーがライアンに託すメッセージの重みがあまり感じられず、
生存し、子孫を成したライアンがそこまで責任を感じる理由になるか?腑に落ちなかった。

字幕がノイズすぎて台詞があんま入ってこなかったので(^^;)理解し切れてないかも(おぉ、なっちゃん・・・)。
ミラーが自分の来歴を明かす意図もつかみかねた。
どの人物にもあまり感情移入できなかったしな。

私にとっては戦禍の惨たらしさに共感する映画というより、そのさ中でも損なわれない人間賛歌の映画だった。
逃げられない怖さや理不尽な任務に当たらされる中で命を落とす悲惨さは潜水艦モノの方が強いか。K-19とか。
戦争恐いです。関わらせたくない。