こたつむり

真犯人のこたつむりのレビュー・感想・評価

真犯人(2019年製作の映画)
3.2
♪ 戻れない愛を飾る 繰り返す孤独の中に
  Tell me true 何処に行けば苦しみを愛せる

韓国版火曜サスペンス劇場。
“土ワイ”ではなく“火サス”。この違いは重要です。つまり、エロやグロなどの娯楽要素が際立つミステリではなく、心の機微を扱ったサスペンス。エンディングに岩崎宏美さんの曲が流れるような感じです。

だから、期待し過ぎるのはNG。
韓国映画特有の陰惨さは皆無ですからね。背後に流れる曲からしてピアノでポロンポロンとした叙情的な感じなので、ターゲットは昼下がりのマダムです(思いきり偏見が入っています)。

そう考えると主演の二人も美男美女。
激辛な韓国映画特有の武骨さとは無縁でした。韓国のサスペンスだからと言って、何もかもが嗜虐的だと限らないんですね。

また、犯人とか真相とかが肝要ではないです。
正直なところ、勘が鋭い人ならば直感で分かると思います。見え見えですからね。ある意味で潔いです。「ブラフとか作れば良いのにな」と素人でも考えてしまうレベルです。

逆に言えば新鮮ですけどね。
確かに昔のサスペンスは“分かりやすかった”し、視聴者側もそれを承知で観ていた気がします。そういう意味でも“火サス”なんですよね。しかも、昼間の再放送のイメージ。

ゆえに大切なのは登場人物の感情に添うことが出来るか…なのですが、ちょっと僕には無理でした。何しろ、僕は“土ワイ”派なので。もっと娯楽要素に振り切ってくれた方が好きなのです。

まあ、そんなわけで。
元は短編小説だったものを引き延ばして映画にしたような物語。苦肉の策で時系列を弄っていますが、それも効果的だったとは思えないです。やはり、色々な意味で“軽い”です。

最後に余談として。
ライトな作品なのに、警察が腐っている描写が入っているのには驚きました。これって韓国映画のお約束なんですかね。本作は“賄賂で情報を売る”というライト(!)な描写でしたが、これが日常だとしたら恐ろしい国ですね(また、偏見が入っています)。
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