つう

糸のつうのネタバレレビュー・内容・結末

(2020年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

『菅田将暉と小松菜奈の運命の赤い糸は誰も切るとができない』

公開は今月の21日なのですが先行公開ということで鑑賞してきました。主演は菅田将暉と小松菜奈が運命に翻弄されながらも結ばれていくというストーリーを中島みゆきの「糸」から着想を得て。さらには平成と言う時代を振り返るという内容の制作された素敵な作品です。カントクは昭和と平静を股にかけた「64」や「八年越しの花嫁」などの瀬々敬久監督。脚本はチアダンや永遠のゼロなどで知られる林民夫がてがけます

一見すると絵に描いたような感動を装ういわゆる感動ポルノ映画なんじゃないかと思えるんですけど。

自由意志と運命論の話がよくテーマになりがちですが。この作品はその運命論を肯定してしまくる内容になっているのです。

なんで、実はそういう意味では意欲作なのでは?とも思えなくもなくもない感じに仕上がっています。

まずはシンプルに良かった点を話していくと主人公とヒロインの中学生時代役を演じた2人は良かった。南出凌嘉(ミナミデリョウカ)と植原星空(ウエハラセラ)は凄く良かった。南出くんは「加藤清史郎くん大きくなったなぁ」と思ったら別人っていうぐらい見間違えてました。申し訳ないw植原ちゃんは清原果耶ちゃんの雰囲気を感じさせるオーラがありました。この2人。名前を調べるために公式HP行ったんですけど。オープニングから20~30分くらいは、この2人の中学生時代を描いてるんですよ。あのわずかなシーンしか出てない竹原ピストルはキャラ紹介でクレジットされてるのに、この2人を載せてないのは酷くないか?こういうの誠意がなくて嫌いだわ~(おっと、まだ良いトコを言うターンだったのに。しまったしまった)

あとシンガポールで出会うことになる高杉真宙くんは良かったです。今まで性格いい好青年というキャラが多くて、個性が感じられにくい感じだったけど。今回の役柄のライトなチャラ男がイイ感じになってたので、こういう役をジャンジャンやって役者として幅が広がってくれるのは見てても楽しいです。

菅田将暉と小松菜奈はいつも通りな感じ。可もなく不可もなく。

ただし、成田凌。テメーはダメだ。成田凌はホントにディレクションする監督によって乱高下が激しい役者やでw

今回は完全にダメな成田凌でした。クドい演技をする時の成田凌で中島みゆきの「ファイト」をフルで酔っ払った演技で歌うシーンがあるんですけど。そこが地獄の底でしたねw

ストーリーに関しては…

運命のイタズラで2人は離ればなれになり菅田将暉は北海道で榮倉奈々と仲良く過ごす。小松菜奈は東京で斎藤工と出会います。しかし、運命は2人を結び付けようと動きます。榮倉奈々は何の癌かは明かされないですが。とりあえず末期癌になります。斎藤工はやり手の社長だったのですがリーマンショックで会社が倒産。菅田将暉と榮倉奈々がうまくいくように応援した成田凌は結婚して1年で奥さんに不倫をされて離婚。小松菜奈と一緒にネイルサロンを共同経営していた山本美月は不動産に手を出したのが失敗し逃亡。小松菜奈はその会社の負債を斎藤工が残した隠し財産で事なきをえる。

そういった形で菅田将暉と小松菜奈の赤い糸に介入するとデスノートに書かれてしまったのかというくらいに不幸の導火線に点火されてしまうというある種のホラー作品に仕上がっていました。そういえばデスノートの映画でキラの後継者役で菅田将暉が出演していたことが関係している可能性も微レ存。10年以上の月日を描いてるのに一切、髪は伸びないしセットも変わらない菅田将暉は神なのかもしれない。

そうとしか感じられないシーンがあって。榮倉奈々の両親が榮倉奈々が亡くなった後に。菅田将暉は若いから、榮倉奈々のコトは忘れて新しい相手を見つけろっていうんですね。

ここまでは、よくあるシーン。でも次に父親が「俺は榮倉奈々の思い出だけで暮らすから。もういいんだ」って言うんですけど。菅田将暉と榮倉奈々の間に娘が生まれてるんですよ。自分の娘の血を分けた忘れ形見の孫がいるのに。こんなセリフ言う?なんか超越者の介入で言わされてるとしか思えないんだよなぁ。

歌が原作というコトで劇中で「糸」流れるんですけど。一番の爆笑ポイントで流れるのが小松菜奈がシンガポールの日本食屋台みたいなトコで有線が流れてて「糸」のイントロが流れてときに店員さんにかつ丼を注文して歌い出しが始まる同時にかつ丼が出てきて、「いや早っ!体感ではノータイムやん」って感じで出てきて富士そばでも2~3分かかるで。シンガポールすげえってなりましたね。

歌といえば小松菜奈の母親が亡くなったのを叔父である竹原ピストルの下で涙した時に予告でも流れてる小松菜奈を菅田将暉が抱き寄せてるシーンがあるんですけど。そこで竹原ピストルが抱き合ってる2人の横でザ・ノンフィクションのテーマ曲「サンサーラ」歌ってたら全てを許してたなぁwアングストを超える怪作になってただろうなぁ…

演出もね。ありとあらゆるシーンで「あ、進研ゼミでみた」「進研ゼミでやったトコだ」という既視感のつるべうち。既視感と言うのは平成のそうした感動映画を総括してるとも言えなくもなくもない。

ラストも2人が出会ったときのセリフを言わせるというシーンで終わります。これだけ聞くと粋だなぁって思うんですが。そのセリフが「大丈夫?」なんですよね。

これは最初のシーンで花火大会に来ていたところにチャリで当たりそうになったのを悪かったと思って声をかけるんですね。

それをラストシーンで小松菜奈が乗ってると思って追いかけたフェリーに向かって名前を叫んで茫然自失してる菅田将暉の腕を後ろから掴んで振り返ると小松菜奈がいる。

そこで、なぜか「大丈夫?」って菅田将暉が言ってから抱き合ってエンドロール。いや、大丈夫?はお前やん。いま、小松菜奈が行ったと思ってショック受けてたやんw

いや、全然うまくねえええええええええええええええええっていう気持ちのままエンドロール。

そして、エンドロールの中盤で急に菅田将暉の歌う「糸」が流れてくる。下手でもないし上手くもない。チョット気が利いてるでしょ?ってな感じで流れるんですけど。定食屋でお客さん。ガタイがいいから言われなかったけどご飯大盛にしておきましたよみたいなサービスの押しつけで胃もたれして帰りましたとさ。

おひたしおひたし。

動画レビューはコチラ。
https://youtu.be/jfe0HUvYoDo
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