えいがうるふ

音楽のえいがうるふのネタバレレビュー・内容・結末

音楽(2019年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

牧歌的なんだかアナーキーなんだか分からない、イエローサブマリン的なシュールさが妙に心地よい。そして作画のクセが強い。が、それがいい。そもそも主人公の顔からして構造がシンプルすぎてずっと見ているとゲシュタルト崩壊しそうでヤバい。が、それがいい。
延々とアナログなゆるい画風でいくのかと思いきや背景が写生大会風の懐かしさ溢れる水彩画だったり、かと思えば突然ロトスコープが入ったりと作画の拘りぶりがもはや変態レベル。くせになる。

何より、「音楽」!!!!!
理屈じゃない。技術でもない。入り口はこれでいいのだ。音を出すのが気持ちいいというプリミティブな快楽を当たり前に共有できる仲間がいるという僥倖がそこに描かれていた。尊いじゃないか。
あと、ここぞというところに挟まれる絶妙な「間」、これもまた音楽であり意識せずともmuteの効果を最大限に引き出せる主人公の音楽的才能が垣間見えるあたり、心憎い。

声優陣がやたら豪華だが、竹中直人は声にハリとパワーが有りすぎて一瞬でキャラを凌駕してしまうので若干浮いていた。好きだけど。
最後のフェスシーンで何故か泣きそうになったのは、3割ぐらいは岡村ちゃんの絶唱のせいかもしれない。キャスティング優勝。