えむ

リスペクトのえむのレビュー・感想・評価

リスペクト(2021年製作の映画)
4.1
牧師でありながらも高圧的な父親、才能に惹かれてくっついてくる男、愛がないとは言わないけれど対象者を自分の所有物かのように扱って、人の持つ魅力や才能を吸い上げていこうとするコバンザメのような男たちにムカムカとしながら観ていたけれど、そこからアレサが歌とともに強さを得て、自分を解放させていくさまはとても勇気づけられました。

時代的に人種間や男女間での対立の物語にはなってるけど、そんなことは本来は関係なく、すべての人達には出自も何も関係なく『リスペクト』が必要だ、互いに尊重されるべきたという物語。

劇中に出てくるように『きちんと扱われていない』と感じたことのある人なら、自分のバックボーンや文化に関係なく、とても心に響くだろうと思います。

ただ、そこでは終わらず、癒されなかった小さな少女が暴れだして崩れていく様は悲しかった。

作品序盤から個人的MVPはオードラ・マクドナルドのお母さんとピアノ弾きの方だと思ってたけど、やっぱり救ったのはその2人でしたね。

日本人だと、普段神との関係性とか宗教性はそこまで日常に溶け込んでいないから、立ちあがり自由になるまでの物語だったら、もっと『リスペクト』というタイトルに相応しく、シンプルにスッキリと終わったかも、とも思いました。

でも、この方のその後の真骨頂がゴスペルと共にあるので、そこは最後まで含めての作品なんだろうな…と、やや終盤は蛇足的に観ていた面もありました。

が。

エンドロールで、ご当人の歌唱映像みて、そんなことも吹っ飛びましたよ。

ヤバいね。
魂のこもり方半端ない。ホンモノはとんてもなかった。
ジェニファーハドソンのその後の歌か小娘に聴こえるもの。

多くのシンガーの伝記映画観たけど、ボヘミアン・ラプソディ並に、歌で泣かされました。


なので、これは是非このご本人映像と歌を劇場のシステムで体験していただきたいな。
(いやジェニファーも流石なんですよもちろん。でもさ、ご本人凄すぎるわ)
えむ

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