TaichiShiraishi

T-34 レジェンド・オブ・ウォーのTaichiShiraishiのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

公開前ですが割とネタバレします(笑)。だからってネタバレして面白さが減るタイプの映画でもないんだけど。

アレクサンドルソクーロフが制作でロシアの戦争映画って聞いたらどんだけ陰鬱な内容なのかと思いきや、今時珍しいど直球戦争エンタメアクションに仕上がってて終始ニコニコ見ていられる。ハラハラもしないけど。

とにかくCGの使い方が良くも悪くもかなり大雑把でケレン味満載でビックリしてしまう笑。

砲弾の発射口がドアップになって、弾道がスローモーションになって、避ける時もスローモーションって今時やらねーよあんなこと笑。逆にカッコいいわ。

何かと思いきやバーフバリのVFXやってたチームが関わってたんかい。ていうかVFXだけじゃなく役者のテンションとかまでバーフバリっぽかったのは笑った。

というわけで見せ場の作り方は基本的にアホっぽいんだが、だからこそかっこ良さもある。

バカかっこいい。

パンツァー戦車も出てくるけど、本当に全体的なテンションはフューリーよりガルパンに近い。
ゴア描写もほとんどないし戦闘のカタルシスを素直に描いているのが新鮮だった。

戦争の悲惨さを訴える映画も好きだけど、こういう燃えてスカッとする昔ながらの戦争アクションが今の時代に見れてしかもロシア製っていうのに謎にテンションが上がる。

冒頭から食料補給車で戦車の弾避けまくるという外連を見せてくれるサービス精神よ。

冒頭からクライマックスみたいなテンションで突っ走る。

正直な話、戦闘のカッコよさと役者の存在感がつりあってないっていうか、みんな地味すぎるビジュアルだったけどそれはもうしょうがない。

それでもおつりがくる。

収容所に入れられてからも特攻大作戦みたいな落ちこぼれチームを組まされて、演習の標的にされそうだったところを機転を利かせて脱出するという大脱走的な面白さもあって飽きさせない。

そこで出会うヒロインのアーニャちゃんはリアルな可愛らしさで清涼剤的役割もあってよかった。

それにしても演習用にソ連兵に渡す戦車にまだ砲弾がないか確認しないナチスアホすぎるやろ笑。案の定反撃食らう場面は痛快だけどもうちょい演習場脱出する場面で手こずっても面白かったかも。

ビックリしたのは最初の収容所でのT-34試乗シーンで「ダンスだ!」って叫んで本当にBGMで白鳥の湖が流れ出すところ。あんなダサさギリギリの演出をためらいなくできる胆力は尋常じゃない笑。でもテレがないから様になっていた。

敵のイエーガー大佐(名前が狩人ってのもベタでいいね)との追跡劇と市街攻防戦、謎のハイテンション水浴びシーン、見張りの役割無視してのイブシュキンとアーニャのSEXシーンなど後半も見どころ満載。

ラストのイブシュキンとイエーガーの命を懸けた者同士の握手描写はベタすぎてリアリティもないけどグッと来た。

ラストに出る字幕通り、ナチスとソ連のイデオロギーはどうでもよく、現場の兵士たちをどちらも称えて、彼らの戦士としてのぶつかり合いを素直にかっこよく描いている。

こんな追悼の仕方もあるのね。現場の兵士たちはどの国も立派ですわ。

それにしてもまさか主人公戦車チームが全員生き残るとは思わなかった笑。この陽性ぶりは珍しい。

雑味だらけだけど楽しい一作でした。
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