むっしゅたいやき

Ruth the Musical(原題)のむっしゅたいやきのレビュー・感想・評価

Ruth the Musical(原題)(2019年製作の映画)
3.3
ルツは旧約聖書に章を割かれるモアブ出身の女性である(旧:8)。
夫と死別した後義母に従いベツレヘムへ移住し、そこで亡夫と遠縁にあたるイスラエル人と再婚、子を成した。
イスラエル王ダビデの曾祖母であり、子孫にはダビデの子のソロモン王や、ナザレのヨセフ(聖母マリアの夫、イエスの養父)がいる。
所謂イスラエル人にとっての『異邦人』『移住者』、そして『被差別民』であり、彼女を受け容れた初期ユダヤ教、キリスト教の寛容性賛美の文脈で語られる事が多い。
英語での詠みは『ルース』。

またレビラト婚とは、嫂婚とも言い、未亡人となった妻と、亡夫の兄弟との婚姻を行う習慣である。
本作ではこの習慣を前提として話が進む為、この概略のみ記しておく。

本作は前記ルツの再婚の過程を現代へ、主題を同化から恋愛へ置き換え、一部ミュージカル化した作品である。

扨、本作の評価であるが―、とても難しい。
出来れば逃げたい程である。

ミュージカル作品は構成上、人物の心情描写に秀でるが、同時に作品自体のテンポは悪くなる。
これは鑑賞者からすれば没入感が損なわれる事と同義である為、より多様な共感を覚えさせる装置が要求される。

翻って本作を俯瞰すると、自主制作といった所から仕方無い面も有るが、農作業にしてはやけに都会的な服装、全く乱れない髪に襟足、唐突に始まるオリエンタルなダンス、何よりルツを演じるジェイ・ムーサ=マンに違和感をありありと覚えた(理由は此処では明かさない)。
"いや、ちょと待ちなさいよ…"、そんな心の声が終始渦巻いたのである。

残念ながら私には、妙に据わりが悪くてこそばゆい、そんな作品であった。
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