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HELL ヘルのsugasanのレビュー・感想・評価

HELL ヘル(2003年製作の映画)
3.3
ヴァン・ダム、衝撃の贖罪路線開幕。

妻をレイプして殺害した金持ちのボンボンを開幕いきなり射殺してしまうヴァン・ダム。

『蜘蛛の瞳』の翔さんのように生きる目的を見失い抜け殻のようになったヴァン・ダムは、仮釈放無しの終身刑を食らい悪の巣窟であるクラヴァヴィ刑務所(言いにくい)にブチ込まれてしまう。

面倒事は勘弁オーラを放ち孤高を貫こうとするヴァン・ダムだったが、特に理由なく暴力に巻き込まれ、初日から看守、囚人問わず目をつけられまくる。

過去のヴァン・ダム映画なら秒で回し蹴りの餌食になりそうな安いチンピラ達にフルボッコにされるヴァン・ダム。

今でこそ珍しくない光景だが、あの俺様ヴァン・ダムがモブに足蹴にされる姿は、当時の観客にはかなりショッキングだったことだろう。

因縁をつけられ袋にされる度に何故か懲罰房にブチ込まれる日々に世捨て人を気取っていたヴァン・ダムもさすがにブチギれ、ロッキーばりのトレーニングの末に因縁のロシアンマフィアの頸動脈を噛みちぎり(えぇっ!?)初勝利の雄叫びをあげる。

サバイバル・ゲーム(という名のただの喧嘩)"スパルカ"で勝利を重ねるヴァン・ダムだったが、同房の謎めいた囚人451の言葉で唐突に非暴力に目覚め殉教者と化してしまう。
果たしてヴァン・ダムの運命は...

撮りたいシーンをとにかく撮る香港的な撮影スタイルと交通整理の出来ていない脚本のせいで、雰囲気はあるものの何が伝えたいのかイマイチわかりにくい本作だが、今までのヴァン・ダムから一皮剥けることに一応は成功したと言える。

地味な映画だが、役者ヴァン・ダムが開花していく序章として、ヴァン・ダム史におけるターニングポイントとなった最重要作。
(と言っても別にそこまで面白いわけでもないので鑑賞の際はご注意を)
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