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キングメーカー 大統領を作った男のmendeのレビュー・感想・評価

4.1
金大中の選挙参謀的位置にいた男の実話(!)に基づいたストーリー。
面白い。
同じ監督の前作『不汗党』に比べても絵作りが洗練されている。
いきなりモノクロの鶏のアップから始まる。後から考えるとここからイ・ソンギュン扮する後の選挙参謀の話は、全体を象徴するものになっている。それを補完する、鶏の印象的な絵作り。
大勢の選挙民に賄賂を渡す場面の俯瞰の移動ショット。さらにそれに反する下からのショット。
もっとも印象的だったのは、三角形のらせん階段のシーン。裏工作をする面々、それを上から除く者たち。さらにその上にいるのは駆け引きを主導していた男たち。野党の大統領候選にまつわる駆け引きを表す、すばらしく面白い映画にしかできないシーンだった。

ソル・ギョングの演説シーンも力強い。さすがの説得力。

駆け引きにつぐ駆け引きで、選挙を勝ち抜く策を弄する男はキングメーカーだと思っている。大衆(選挙民)は難しいことはわからないというが、そうだろうか。
最後のソル・ギョングの鶏の話は、きれいごとかもしれないが心にささった私には、金大中のような資質のある男は「キングメーカー」がいなくても結局はのし上がっていったような気がする。

韓国の社会派エンターテインメントは実に楽しい。

※朴大統領役の俳優さん、『エクストリームジョブ』のチキン屋さんだよね? 変わりように驚愕している。
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