emily

ワサップ!のemilyのレビュー・感想・評価

ワサップ!(2005年製作の映画)
3.9
ロサンゼルスのサウス・セントラル。中南米の6人組の少年たちはスケボーとパンクロックを楽しんでいる。ある日、ビバリーヒルズ高校の有名な階段滑りをするためにボロ車で向かう。警察に車を没収されり、白人女性に逆ナンされたり、セレブパーティに忍び込んだりといろんな人に出会う。

 危険地区で死といつも隣り合わせに生きてる少年たちの朝の目覚めから始まり、スケボーに乗って登校する。疾走感のある音楽にのせて、まるでPVのようにきらびやかな少年たちの切り取る。時折光がさし、時折夜のネオンの中に溶け込み、なんでもない日々のなんでもない悩みを描写し、小さな幸せの積み重ねが簡単に銃殺により奪われてしまう、少年たちの生態を見事にあぶりだしている。

 少年たちの生きた声、時にカメラ目線の少年達が居たり、そんな中でも笑顔で楽しく生きており、人種差別、格差、シビアな社会問題も彼らなりの交わし方で、そこから笑いを生み出し、命を軽く扱われてしまいがちな土地で懸命に自分の居場所を見つけて生きている。大げさではなくそれを自然な形で絶妙な音楽と共にクールにソフトに描いてるのがいい。意味深なパーツのアップや女の子といちゃいちゃするシーンにも”少年らしさ”が見事に表れていて、揺らぎがちな青春期を見事にとらえている。
emily

emily