Ryu

最初の晩餐のRyuのレビュー・感想・評価

最初の晩餐(2019年製作の映画)
3.8
父親の通夜の席で母親が故人の意向 としてふるまいの料理を自分で作ると言い出す。父と母は再婚であり、共に子供もいた。最初に出てきたのは目玉焼き。末っ子 麟太郎はその目玉焼きに覚えがあった。それは母親が盲腸で入院した時に父が初めて子供たちに作った料理だった。それから次々と出てくる料理を食べながら家族の思い出が蘇ってくる。

再婚で2人とも連れ子がいて、最初はギクシャクする家族。そこから料理を通じて少しづつ距離が縮まっていく。まるで最初から家族だったように。そこで“家族”ってなんなのか?という疑問が出てきます。今作はそんな“家族”ってなんだろう を料理を使い描いた作品です。
戸籍が一緒だから?一緒に暮らしてるから?色々あると思いますが、これと言った答えはないでしょう。家族だからといって一緒にいて一番楽しい・落ち着く、互いを一番理解している なんてことも言えないと思います。終盤での「煩わしい」というセリフが非常に印象深かったです。そんな超絶幸せ!って感じではないけど、料理にまつわる思い出の数々にはホッコリせざるを得ないです。
キャスト陣も素晴らしく、染谷将太、戸田恵梨香、窪塚洋介、永瀬正敏、斉藤由貴 といった実力派が揃っており、演技合戦も見ものです。個性あるけどちゃんとリアル。みーんないい歳のとり方してますねー。染谷将太も40代くらいなったら絶対渋いイケおじになりそう。
監督は今作が長編デビュー作になるみたいです。今までドキュメンタリーや短編作品を手掛けてきているからか、今作の作風もリアリティがあって淡々としているけど、しっかりと心に響くし感動もできます。家族という強くもあり脆くもある関係の大切さ・奥深さを感じることのできる作品でした。
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