Bell

グッドライアー 偽りのゲームのBellのレビュー・感想・評価

4.5
私の大好きな俳優さん、イアン・マッケランとヘレン・ミレンが共演!!
昨年から、とても楽しみにしていました。


原作小説は既読。
なので、ネタバレは知っていましたが、とても面白かったです。

登場人物も少なく、静かで落ち着いた作品なのですが、その静かな中に、怖さがあって。

イアン・マッケラン演じるロイと、ヘレン・ミレンの演じるベティの駆け引きに、終始緊張感を持って鑑賞はすることが出来ました。

2人のぶつかり合う演技が圧巻で、実に、大人の極上サスペンスだったと思います。

グッと引き込まれました。


主人公のロイは、高齢とはいえ手練れの詐欺師。

ネットの婚活サイトで知り合った資産家の未亡人ベティに上手く取り入り、彼女の財産を丸ごと奪おうと画策し、そして、その計画は着実に進んで行っている・・・という風に見えるのですが。

彼にとって、良いカモになってるベティも、何やら裏がありそうで。

映画を見ている私達には、ベティは、単なるお金持ちの苦労知らずの未亡人ではないように見えるのですよね。

ちょっとした仕草、目つき、言葉。

特に、新しい車や家を「現金で買っちゃった(*^^*)」ってお茶目な感じで言っちゃうところなんか、絶対、ロイの狙いを知っててワザと言ってるでしょ!?としか見えなくて。

それなのに、ロイの方は、そんな彼女の言葉に、彼女の莫大な資産を皮算用し、ほくそ笑む。

彼の目には、ベティがお金の苦労を知らないまま年齢を重ねた、お嬢様がそのままおばあちゃんになったような、ふんわりとしたイメージで映っている。。。というような駆け引きが、実に緊迫感を感じさせます。

私は原作を読んでいるので、2人の真実の姿は知ってはいたのですが、でも、映画は原作とは異なる展開も多く、物語がどう進んでいくのか、ずっとドキドキしていました。

小説では、現在のロイとベティのシーンと、ロイの過去が、ほぼ変わりばんこの章で描かれ、そして、そのロイの過去は少しずつ少しずつ過去へと遡り、ロイの少年時代まで戻っていきます。

が、映画では、ロイの過去はキーポイントとなるエピソードだけに絞ってあったので、とてもテンポが良かったです。


そして。
キービジュアルにもなっている白いコートが印象的なヘレン・ミレンのベティが、ラスト、黒い服で登場した時は、シビれました(//▽//)

世間知らずの気の良いおばあちゃんから、一気に、重い人生経験を積んできた大人の女の顔になったというか。
視線ひとつとっても、前と変わっていて、カッコ良かったです。

一方のロイのイアン・マッケランも。何の感情も見せず、いとも簡単に殺人を犯したり、柔和な笑みを浮かべつつも目は笑っていない詐欺師の顔を見せたり、はたまた、ラストのラストのシーンなど・・・いくつもの顔で魅せてくれました~。
私の大好きな、壮絶なカッコイイ悪役っぷりに惚れました。素敵です。


結末は、原作よりも映画の方が残酷で怖かったかな。。。

原作の方が綺麗に落ち着いて終わった感がありましたが、映画は映画ならではの余韻の残る残酷さがあって良かったです。


そうそう。
小説を読んだ時も、映画を見た時も思ったのですがね。

主人公達が知り合ったのは、インターネット。

日本語で「出会い系サイト」っていうと、ちょっと違う感じがするのですが、きっと、年配層の方々の再婚などの機会を作る婚活サービスのサイトなのでしょう。

が。それにしても、2人が一緒に暮らし始めるの、早過ぎない?ってA^^;;

まあ、物語の展開上、お互いにそれぞれ目的があったからではありますが、それでも、唐突な気がして。

でもでも、詐欺の件は置いておいたとしても、2人はとても高齢。

「もしかしたら、残りの人生も短いかもしれない。それなら、行動は早い方がいい」

というのが、一般的な考え方なのかもしれないなぁと考えました。

そして、そういう一般的な想いに付け込むように詐欺をしたり、はたまた、罠を張ったり・・・なるほど、これは、年齢を重ねている彼等でこその物語なんだなぁと思いました。

それぞれが歩んできた人生の重みもある分、壮絶な展開、そして、怖いような、切ないようなラスト。

鑑賞後、パンフレットを読みながら、いつまでもいつまでも余韻に浸れることが出来ました。

派手なシーンなどはなく、静かな物語ですが、心にグッとくるサスペンス映画でした。
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