映画の値段は尺で決まるものではないと分かっていても、16分で1800円はさすがに躊躇する。
(ちなみに悩み度は438分に3900円と同じくらい笑笑)
せめて舞台挨拶で生渋川兄貴を観て元を取ろうというセコい動機で初日鑑賞した。
背景に悲劇があったことを想像させる僅かなアイテム以外は台詞もナレーションもない。役者の全身から発せられる強い意志にただ圧倒されるだけの16分。
いやもうなんと言っても渋川清彦よ。
16分しかないのに大胆に長回して追いかけた背中が痺れるほどにかっこいい。
浅野忠信の肩ごしにこちらを見たその目に思わずドキリとした。
この作品が作られた発端は豊田監督が今年の4月に銃刀法違反で不当に逮捕されたというもの。マスコミとSNSによって散々に吊し上げられ自粛を余儀なくされたにも関わらず、不起訴で釈放されたときにはマスコミは沈黙したらしい。なぜか私はこの逮捕にまつわる一連の流れを全くと言っていいほど知らなかった。
製作スピードも異例だが、短期間とは言えミニシアターで全国一斉公開されるのも日本では初めてのこと。こうして陽の目を見られたのは、監督が社会の理不尽さに対して喝を入れようとしていることに役者や映画館が応えた結果だ。
「ううっ、続きが観たい」と思わせることは完成品としては正解なのか不正解なのか。
いずれにしてももう一度あの男たちが観たくて1800円に鑑賞直後から煩悶し続けている(笑)