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アルプススタンドのはしの方のRYOBEERのレビュー・感想・評価

3.9
方々で指摘されている「桐島、部活辞めるってよ」と、テーマの共通項はあるものの受け取る印象がこれ程までに違うのは、

"嫌な感情を持てど、話せば通じる奴らしか出てこないこと"
そして、
"彼ら彼女らの学生生活という世界の枠組みの中に、はっきりと「大人」が存在していること"

が要因だと思う。

この世界のはしの方にいた人達なら誰でも通ってきたであろう痛み・嫉み・諦め。
その負の感情を持つことにすら諦念を抱いて自ら「真ん中」との境界線を引いてしまう若者のなんと勿体ないことか。
何故なら、世界の真ん中で輝いているように見える人にだってそれらの葛藤を確実に経験してきたのだろうから。
その中には、少なくともそれでもやめなかったからそこにいる人たちもいる。
それが分からないまま大人になってしまった者のなんと多いことか。
その気付きがあってこそ、これから何度もやってくる「しょうがない」の先に、広い視野と新しい道が開ける。

4人各々の気付きが"声"となり、ひとつの大きな"声援"となって、昇華されていくシーンはとても心地よかった。
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